さらに、プリン体をまったく含んでいない食品が牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品だという。
「乳製品はプリン体を含まない食品です。さらに乳たんぱくに含まれるカゼインという物質には乳酸の排泄を促す作用があり、尿酸を下げる働きがあります」(大山医師)
つまり冒頭のA氏が実践した低脂肪牛乳による“痛風予防法”はある意味、理にかなっていた、というわけである。
「牛乳は食品なので効果に個人差があって、薬のように『これだけ飲めば、これだけ下がりますよ』ということは言えません。ですが、個人差はあるものの尿酸値を下げる効果は期待できるので、食事に上手に取り入れてもらえばいいと思いますね」(大山医師)
ちなみに、普通の牛乳と低脂肪牛乳との間に、大きな差はあるのだろうか。
「低脂肪牛乳はカロリーが低いのでコレステロールや中性脂肪を抑えられます。ただ、尿酸値を下げる働きに関しては、普通の牛乳でも無脂肪でも同様。ヨーグルトでも同じことが言えます」(大山医師)
なるほど、個人差はあるものの、試してみる価値はアリ、というわけである。
ただ、牛乳を飲みすぎると、筋肉や血液に使われるはずのたんぱく質が分解しきれずに体脂肪として体内に残ってしまう。たんぱく質の摂りすぎは、肥満にもつながるので、要注意だ。
「尿酸に影響しない量は、ビールならだいたい500ミリ缶1本程度。それ以上の量を飲む場合は、できるだけ『プリン体ゼロ』のビールを選ぶべき。そのほうが尿酸値の上がり方は抑えられます。ただ、ビールに限らずアルコールには利尿作用があり、アルコールだけで水分を摂るとむしろ脱水になってしまい、尿酸の濃度を上げてしまうんです。なので、アルコールを飲む際には、できれば隣にチェイサーを置いて同量程度の水を飲んだほうがいい。ビールの場合は量が多いので難しいですが、焼酎や日本酒、ウイスキーの場合はそうした飲み方を勧めています」(大山医師)
あと、尿をアルカリ化するという意識を持つのも重要だ。
「尿というのは弱酸性が健康な状態で、だいたいpH値が6.5くらい。このくらいの状態だと最も尿酸が溶けやすいんです。これが7を超えても溶けにくく、6を下回るとさらに溶けにくくなります」(大山医師)
ということで、アルコールを飲む時には、ひじきやわかめ、昆布ほか大豆、ほうれんそう、ナスといった尿をアルカリ化する食品をチョイスするといい。酒の肴として、ここは積極的に摂取しておきたいものだ。
この連日の猛暑を乗り切るため、一日の仕事の疲れを癒やしてくれるビールを変わらず飲みたい諸兄。痛風に悩まされぬよう、今回紹介した情報をもとにして、今後の予防に役立ててみてはいかがだろうか。