ただ、高尿酸血症になっても痛風の発作が出る場合と出ない場合がある。その境目は、どこにあるのだろうか。
「痛風になるのは、尿酸が高くて関節に結晶がたまり、それが何らかのきっかけで崩れることで痛みが現れるというもの。尿酸のたまりやすさには個人差があって、尿酸値が7を少し超えた程度でも、たまってしまう人もいるんです」(大山医師)
そして、その激痛のメカニズムは、
「尿酸が関節の中に沈着していても、ペッタリくっついた状態では痛くはならない。尿酸の結晶が関節の中に散らばってくると、人間の体はそれをばい菌などの異物として認識。白血球が集まって攻撃を加える際に炎症性物質を出すわけです。それが痛風の発作と考えられています」(大山医師)
結晶の崩れる原因はさまざまだが、その一つに尿酸値の変動がある。
「例えば、屋根に雪が積もっていても、それだけでは被害は起こりませんよね。ところが、夜中に雪がたくさん降れば明け方ドサッと崩れてしまうことがあります。それと同じで、もともと尿酸がたまっているところに、お酒をいっぱい飲んだり、たくさん食べたあとに尿酸が上がると結晶が増え、剥がれやすくなるわけです。また逆に尿酸値が下がっても発作が起こる可能性も高いのです」(大山医師)
尿酸の結晶がたまっている関節に直接的な刺激があって発作が起こる場合も多く、テニスやサッカーなどのスポーツ、または山歩きの最中に発症することも。
「中には子供と遊んでいてを踏まれて、それがきっかけで、というケースもあります」(大山医師)
これでは、まるで見えない爆弾を抱えて生活しているようなものだ。
では、痛風への対策はどうすればよいか。まずは、尿酸を作り出しているプリン体に注目しよう。
「先にも触れたように人間はプリン体の2~3割を食品から摂取し、残る7~8割を体内で作り出しています。つまり、我々が食事から摂る2~3割は決して少ない数字ではないんです」(大山医師)
プリン体を多く含む食品は、鶏や豚のレバー、マイワシやマアジ、サンマの干物、大正えびなど。
「よく肉と魚だと、肉のほうがプリン体が多いというイメージを持っていて、尿酸値が高いと『肉をやめて野菜と魚を中心に!』という方も多いのですが、カツオやサンマなどにはプリン体が多く、また魚介類をたくさん摂ったことで尿酸値が上がってしまうというケースは少なくない。食事の中でプリン体をミリグラムまで気にすることはありませんが、全体的に食べすぎないことは心がけるべきですね」(大山医師)
逆に豆腐や卵などはプリン体が少ない食品だ。
「プリン体は、レバーなど細胞が密になっている組織ほど多く含まれています。ですが卵は細胞が一つなので、大小に関係なくゼロに近いということになります」(大山医師)