記録的な猛暑が続く中、キンキンに冷えたビールはサラリーマンにとって何よりのご褒美。「あまり飲みすぎると痛風が心配」という人も、ご心配なく。なんと牛乳を飲むだけで痛風が治ってしまうというのだ。ウソだと疑う前に、まずは貴重な体験と専門家の言葉に触れてほしい!
ここは東京・新橋の、とある焼き鳥屋。編集部員2人とテーブルを挟んで座る芸能記者A氏が、うまそうに生ビールを一気に飲み干してひと言。
「実は僕、少し前まで尿酸値が10もあって、痛風の発作を6回も経験しているんですよ」
聞くところ、A氏の痛風デビューは4年ほど前。ある日、居酒屋で飲んで帰ると朝方、左足の親指付近に激痛が走り、まったく立てなくなった。原因は痛風と判明したが、「ビールはダメでも、他の酒なら大丈夫だ」と、ハイボールに切り替えて相変わらず飲み続けた。
だが、昨年夏、池袋の居酒屋で朝まで飲み、帰宅すると、事態は急変。
「朝方、いきなり両足にガッツ~ンときましてね。ふだん腫れが出る左足の痛みは2日ほどで治まったんですが、初めて痛みが出た右側の腫れが2週間以上引かなくて、トイレにも行けないので、バケツで用を足していました」(A氏)
A氏いわく、その時の痛みは足の表側をブルドーザーでひかれたあと、裏をノコギリでガリガリと引かれたような、今までに経験したことのない激痛だった。
そんな時、たまたまテレビ番組で目にしたのが「痛風には低脂肪牛乳が効果的」という企画だった。
「ダメもとで毎日、低脂肪牛乳を1.5リットル。決まった時間でなく、気がついたら飲む、という感じで試してみたんです」
すると、頻繁に起こっていた発作がピタリと治まり、直近の血液検査でも10あった尿酸値がなんと6に低下していることが判明。
「ウソじゃありません。牛乳を飲み始めた4月を最後に一度も痛風の発作が出ていないし、ホント、牛乳は僕の救世主ですよ」(A氏)
「風が吹いただけで痛い」そんな意味から名付けられたという、痛風。かつては贅沢病とも言われたが、今では30代の働き盛りを中心に、その数は増加傾向にある。まずは、痛風がどのようなメカニズムで起こるのかを理解しよう。
解説してくれるのは、日本における痛風治療の第一人者として知られる、両国東口クリニック理事長の大山博司医師(医学博士)。
「人間はさまざまな食物からプリン体を摂取、また体内でプリン体を作り出しています。プリン体から作られた尿酸は体内で一定量ためられ、余分なものは尿や汗などで体外に排出されます。ところが、尿酸の産生と排出のバランスが崩れ、血液中の尿酸の濃度が高い状態(高尿酸血症)が続くと、体内に尿酸の結晶が蓄積して関節炎が発症する。これが痛風なんです」
「尿酸値」とは尿酸の濃度を表す数値で、一般的にはそれが7.0mg/dlを超えると、痛風発作が起こるリスクが出てくる。
「7台だと痛風を起こす人は1割程度ですが、8を超えると2割以上、9を超えると4割以上に増えます。尿酸(の濃度)が高いことが痛風の原因であることは確かなので、高ければ、そのリスクも高いと言えるでしょう」(大山医師)