老若男女みんなに好まれているあんパン。このあんパンに驚くべき健康とダイエット効果があった──。
4月4日はあんパンの日だという。明治8年(1875年)4月4日に、明治天皇に仕えていた、山岡鉄舟が 木村屋のあんパンを明治天皇に献上した日なのだそうだ。
そもそも、パンは安土桃山時代にポルトガル人によってもたらされたものだが、あんパンの登場は明治になる。明治2年に現在の木村屋總本店を創業した木村安兵衛が、パン食を日本に広めようと酒饅頭(酒蒸し饅頭)をヒントに酒種を使ってふんわり柔らかいパンを作り、あんを包んだ“酒種あんパン”を“発明”したことによる。そして春爛漫の時期に合わせるように、彼はこの“酒種あんパン”に吉野山から取り寄せた八重桜の花びらの塩漬けを埋め込んだ“桜あんパン”を製造し売り出す。山岡がこれを明治8年4月4日、東京向島にある水戸藩のお屋敷でお花見をされた明治天皇に献上。またたく間に日本全国に広がり、あんパンブームが起きたというわけだ。その、あんの健康効果とは──。
「あんの原料は小豆で、小豆の外皮に含まれるのがサポニン。このサポニンがポリフェノールと同様に強力な抗酸化作用がある。つまりアンチエイジング効果があるんです。また体脂肪を溜めにくい身体にする作用がある。ダイエット効果もあるんです」(管理栄養士の工藤信氏)
そして小豆にはすごい量のポリフェノールも含まれているのだ。
「赤ワイン100g中のポリフェノールが300mgに対して小豆は460mgも含まれている。ポリフェノールは強力な抗酸化作用で活性酸素を除去することはよく知られています」(前出・工藤氏)
他にも小豆はビタミン、ミネラルなどを豊富に含む栄養の宝庫だ。小豆の約22%は必須アミノ酸を含むタンパク質。免疫系の機能を助けるのだ。それゆえ世界最古の中国の薬学書である「神農本草経」にもその薬効が記されており 漢方では赤小豆(せきしょうず)と言われる生薬なのだ。
「この効果をより得るためには、こしあんよりも粒あんをお勧めします」(前出・工藤氏)
これから花見をするなら、“あんパン”、それも粒あんのものをかじりながら楽しもう。
(谷川渓)