昭和40年代末から50年代初頭にかけて、健康食品として一大ブームとなり、そして消えていった“紅茶キノコ”がふたたびブームになっている。あらためて健康効果に注目が集まっているのだ。
〈高まる健康志向…米コカ・コーラ、オーストラリアの人気コンブチャ・メーカーを買収〉(BUSINESS INSIDER JAPAN/9月20日付)
最近こんなニュースが報じられ話題になっている。現在アメリカのセレブの間で大流行しているのが「コンブチャ」。糖分の多いドリンク離れが進む中、コカ・コーラは、生きたバクテリアを含む発酵飲料「コンブチャ」のメーカーを買収したというのだ。
ところで、アメリカセレブに人気のコンブチャって?昆布茶のこと?食品栄養学に、詳しい秋好憲一理学博士が言う。
「紅茶や緑茶に砂糖を加え、そこにゲル状の塊を漬け込んで発酵させたモンゴル発祥の飲み物です」
このゲル状の菌がキノコに似ていることからわが国では「紅茶キノコ」と呼ばれ、昭和40年代末から50年代初頭にかけて爆発的なブームを起こしたのだ。ブームが下火になったのは“健康被害”。腹痛などの食中毒などで体調を崩す人が出たことによるのだが、調査した都立衛生研究所によれば、原因は“紅茶キノコ菌”を培養、管理する者の不十分な衛生管理のせいだった。
海外では“コンブチャ”として愛飲され続けていたのだが、最近の“健康ブーム”“ダイエットブーム”そして糖分離れが重なり、“コンブチャ”ブームが起きたのだ。管理栄養士の荻原智恵子さんがこう説明する。
「コンブチャ(英語:Kombucha)には、酢酸や複数の酵素、ビタミン、ポリフェノールなどが含まれているので、腸内環境の活発化、冷え症の改善、高血圧の予防になる。アメリカでデトックス効果、美容効果、ダイエット効果があるとして、大流行している」
作り方も簡単なので自作した方が安上がりなのだが、それでは以前のブームのときと同じリスクがあると荻原さんは言う。
「日本の気候は、食中毒などを起こす菌が繁殖しやすいので、素人が作る紅茶キノコは腹痛などを起こすリスクが非常に高くなる」
市販の“コンブチャ”なら安心して飲め、健康効果を得られる可能性も高いとのことである。
(谷川渓)