長澤まさみ主演のフジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」が4月9日にスタートする。
昨今の低視聴率続きで存続が危ぶまれているフジの月9ドラマだが、かつては月曜の夜は「OLたちが一斉に帰路を急ぐ」とまで言われたものだった。
その原動力となったのは、放映開始30年を迎えた「月9」のドラマ枠にほかならない。社会現象にもなった名作たちのヒロインを、名セリフとともに回顧する。
「あすなろ白書」(93年/石田ひかり)
「掛井くんがいない大学は白黒写真みたいに寂しくて」
今では圧倒的に姉・ゆり子の活躍が目立つが、90年代には朝ドラヒロインも、月9の主演も石田ひかりのほうがリードしていた。柴門ふみ原作のコミックをドラマ化し、藤井フミヤの主題歌もダブルミリオンを記録するヒット作に。ここで3番手ながら、メガネをかけた取手に扮したキムタクの演技がSMAPを国民的アイドルグループにする起爆剤となったことは有名。掛井(筒井道隆)との三角愛に揺れ動く石田の繊細な演技も光った。
「101回目のプロポーズ」(91年/浅野温子)
「また人を好きになって、それでまた失うの怖いんです」
ものまねの定番である武田鉄矢の「僕は死にましぇん、あなたが好きだから!」は、トレンディドラマに“美女と野獣”という新たな概念をもたらした。そのセリフにつながるのが、かつて恋人を失った浅野温子の「笑わせないで、あなたが私を? 彼の代わりに? 冗談じゃないわ。だったらもう1度あの人に会わせてよ」のツンデレセリフ。トラックにぶつかりそうになるシーンは撮影時に見物客から涙する声も聞こえたといい、武田は番組の成功を確信した。
「すてきな片想い」(90年/中山美穂)
「何もないより、悲しいことでもあったほうがいいよね」
木村拓哉の10回に次ぎ、女優としては最多となる7回の月9主演記録を誇るのが中山美穂である。2度目の主演が野島伸司脚本によるコメディタッチのラブストーリーで、この後に続く「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」と合わせて“純愛三部作”と名づけられた。特に最終回に向けてのセリフの冴えが秀逸で、「何もないより悲しいことでも~」や「恋をすると傷つくけど、でも恋はすばらしい」は、同性にも高く支持された。
「ピュア」(96年/和久井映見)
「魔法のベルが鳴りました」
軽度の知的障害を持つが、オブジェ作りに関しては天性の才能が光るヒロイン・優香。いわゆる「サヴァン症候群」を扱った作品で、和久井映見が抜群の演技力で難役をこなしている。タイトルどおり何事にもピュアな優香を巡り、2人の男(堤真一と高橋克典)の恋のさや当ても物語に鮮やかさを加えた。優香のモデルはジミー大西で、栗原美和子プロデューサーが芸人時代のジミーを見て発案したものだが、実際にジミーは芸術家に転身。
「二十歳の約束」(92年/牧瀬里穂)
「ヒューヒューだよ」
残念ながら平均視聴率は20%に届かず、当時の月9としては低調に終わったが、小中学生の支持は高いという不思議なデータが残った。その不思議さを体現するのがヒロイン・牧瀬里穂で、主演の稲垣吾郎に向かって放つ「ヒューヒューだよ」は、流行語ほどではないものの、斬新なセリフとして話題に。実際のドラマの流れとしては「ヒューヒューだよ、ヒューヒュー。熱い熱い、ヒューヒュー、バイバイ」と、さらに意味不明(笑)。