フィギュアスケート・羽生結弦選手が、4月22日に出身地の仙台市で行った凱旋パレードに先立つこと一週間前、同じく凱旋と感謝の意味を込めたショー「Continues with Wings2018」が、4月13日から15日の3日間、東京・調布市の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で開催された。ショーには、羽生選手のスケート人生に影響を与えた一人として、スケート解説でおなじみの佐野稔氏もゲスト出演した。
羽生選手が姉をまねてスケートを始めたことはすでに知られているが、そもそものきっかけは、実は、佐野氏が仙台でのスケート教室に来たことだった。そのため、羽生選手は「(佐野氏が)仙台に来なかったらスケートをやっていなかったかもしれない」とコメントしたものだった。
佐野氏は、羽生選手の元コーチ・都築章一郎氏に師事していたことがあり、羽生選手とは兄弟弟子の関係。そんな縁もあって出演した佐野氏だが、トークだけでの出演かと思いきや、ゆかりの選手や元選手たちのスケートの演技に加え、「22年ぶり」にショーでスケートを披露するという驚きの演出もあり、会場は大喝采に包まれた。
「佐野氏はいまや解説でしか姿を見ることができませんが、1977年に日本人選手として世界選手権で初めて銅メダルを獲得し、日本スケート界の礎を作った存在の一人です。自身の銅メダル演目『ブダペストの心』のサワリを滑ったものの、さすが22年ぶりだけにジャンプができるわけもなく、ステップやスピンのみ。ライブビューイングでは織田信成氏の解説が入ったのですが、『イナバウアーですね』という解説がなかったら、とてもそうは見えないような固い演技もありました。それでも62歳であれだけ滑れるのはすごいですね。本人も満面の笑みで、みんなと滑ったこと、そしてショーに出演したこと自体も、とても楽しんでいるようでした」(スポーツライター)
実際、佐野氏はツイッターで「メチャクチャ楽しかった!」と感想を語っている。佐野氏が活躍していた頃は、男子フィギュアスケートはこんなにメジャーなスポーツではなかったはず。初めての黄色い大声援に、“レジェンド”もさぞかしお喜びだったに違いない。
(芝公子)