2020年、東京五輪は競泳女子の池江璃花子が主役になる。泳ぐたびに日本記録を更新しており、そんな声が競泳関係者以外からも聞かれた。
「前回のリオデジャネイロ五輪ではリレーを含む7種目に出場しましたが、東京大会では最大の9種目に出場する可能性もあります」(体協詰め記者)
そんな女子高生スイマーを巡って、水面下での駆け引きが行われていた。池江が「どこの所属」で東京五輪に出るのか、彼女の獲得に成功した団体が競泳界の覇権を握るからだ。
「池江はこの4月から高校三年生。複数の大学から勧誘を受けていました。それもかなり以前から」(前出・体協詰め記者)
その複数の大学の中から池江が選んだのが日本大学だというのだ。確かに日大水泳部は名門だが、北島康介が活躍して以来、「日本競泳界の主流」は東洋大学に移っている。北島は現役を退いたが、彼を育てた平井伯昌コーチは今も同大学水泳部の監督であり、日本代表のヘッドコーチに、競泳委員長も務めている。こうした競泳界のパワーバランスはもちろん、あるいは若手の台頭が著しい早稲田大学が池江の進路先として有力視されていた。それが一変したのである。
「日大水泳部は故古橋広之進・元日本水連会長らを輩出した名門です。元代表でヘッドコーチも歴任した上野広治氏が監督を務めています」(関係者)
日大選択は間違っていないようだが、池江獲得は現主流勢力の東洋、早稲田と伝統の日大の覇権争いにも発展しそうだ。
「女子レスリングの伊調馨のパワハラを巡る騒動にしても、有望選手を誰が抑えているのかの問題が根底にありました」(前出・体協詰め記者)
日大の巻き返しは必至。相撲協会、バドミントンに次ぐお家騒動は競泳のようだ。
(スポーツライター・飯山満)