ペナントレースの鍵を握る「セ・パ交流戦」がいよいよスタート。昨年は、巨人が球団ワーストの13連敗を喫したかと思えば、楽天・則本が8試合連続2桁奪三振で日本記録を更新。ソフトバンクの史上初の3連覇で幕を閉じたが、今年はどんなドラマが──。運命の108試合を盛り上げる遺恨バトルをお届けする。
開幕から約2カ月がたち、いよいよ交流戦が火蓋を切った。同一リーグ球団との対戦がないため、順位変動にも大きな影響を与える18試合。不慣れな球場への対応やDH制の有無による選手起用の変化、さらにはパ・リーグ投手の打撃など、ふだんのリーグ戦では見られない“名場面、珍プレー”も多い。
中でも楽しみなのが“個の対戦”。初めて別リーグのチームと対決する新人はもちろん、中堅・ベテラン選手絡みの“因縁”などに注目すれば、試合観戦の興味もより増してくる。
今季の注目度ナンバーワンは、なんといっても日本ハムの大物ルーキー・清宮幸太郎(19)だろう。さる球界関係者は、対戦投手の思惑を次のように忖度する。
「昨年のドラフトで清宮を1位指名したセ・リーグの球団はヤクルト、巨人、阪神。日本ハムにドル箱スターを持っていかれ、各球団とも悔しい思いがある。スカウトが高校時代から集めたデータで、すでに分析されているはず。特に、最初のカードで当たる巨人は『絶対に東京ドームで打たせるな』と厳しく攻めてくるでしょうね」
5月2日に1軍初昇格した清宮は、デビュー戦からの連続試合安打記録を作る活躍を見せ、9日には早くもプロ初本塁打を放った。しかし、その後は振るわず打率は1割台に低迷。プロの壁にぶち当たっている。
「パ・リーグ各球団の清宮攻略法はパターン化されています。彼の得意なコースは外角高めなので、その近辺に投げれば何でも振ってくる。そこで、外角高めのボール球でファウルを打たせ、追い込んだら内角低めに変化球を投げて打ち取っています。当然、セ・リーグの投手も参考にしてくるはず」(スポーツライター)
清宮にはチーム事情という壁も立ちはだかる。そもそも5月2日の1軍昇格は、外野やDHで起用されていた近藤健介が右ふくらはぎ痛で登録抹消されたためだ。近藤の復帰直前の13日には、同ポジションのアルシアが左太腿の張りで戦線離脱。こうした状況が清宮の1軍起用を後押ししてきたが、そのアルシアも1軍に復帰してきた。加えて、一塁には左翼も守れる中田翔がいる。DHなしの試合では、この中軸3人のうち2人しかスタメン起用できないのだから、清宮が割り込む余地はますますなくなってくる。
「ただ、栗山監督は『今は数多くの打席に立つべき』と、結果にかかわらず起用し続ける姿勢を示しています。たとえ2軍に落としても、程なくして再昇格させることは十分に考えられます」(スポーツライター)
交流戦前の時点で、清宮の打席数は60を突破。そのため、新人王を獲得できるチャンスは今季限りとなった。現状の成績では獲得は厳しく、仮に交流戦で苦戦するようなら可能性が完全に消えかねない。大物ルーキーにとっては試練の交流戦となりそうだ。