移籍を巡る因縁といえば、オリックス・増井浩俊(33)と巨人の対決にも注目したい。
昨オフ国内FA権を行使した日本ハムの増井に対し、オリックスと巨人が獲得に動いた。オリックスの提示は「3年9億円」で、巨人はオリックスを上回る条件を提示したという。しかし、増井が選んだのはオリックスだった。
「巨人は交渉の段階でマシソンの残留が未定だったこともあり、増井を先発で使うか中継ぎにするか流動的でしたが、残留が決まってもその点は不確定のままだった。『平野佳寿に代わる抑え』と起用法が明確だったオリックスとは対照的だったうえ、結果が出なければすぐに見切りをつける球団。増井がフッたのもうなずけます」(球界関係者)
老川祥一球団オーナーみずからが補強にハッパをかけ、マネーゲームで優位に立ちながら増井獲りに失敗したのは、巨人にとって大打撃。一方の増井は、5月24日現在、リーグトップの11セーブと大活躍。交流戦で抑え込まれるようなら、逃した魚がますます大きく見えるに違いない。
その巨人を昨オフ戦力外になったのが、日本ハムの捕手兼任コーチ・實松一成(37)だ。巨人担当記者が舞台裏を語る。
「昨オフ当初は戦力外になっておらず、實松自身もノンキに休養していました。ところが、ドラフトで育成を含めて4人も捕手を獲得したことでいきなりクビを宣告され、本人がいちばん驚いたそうです」
トライアウトの準備もできておらず、そのまま引退も考えたというが、日本ハムに拾われた。巨人の選手たちの間でも「あんな通告の仕方はありえない」と、同情の声がしきりだったという。
「その様子は、年末に放送されたテレビ特番『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』でも取り上げられました。本人にしてみれば、いきなりクビにされたあげく見せ物にされて、恨み節の一つも言いたいところ。巨人投手陣の癖や攻略法は筒抜けと思っていいでしょう」(巨人担当記者)
日本ハムにはもう一人、巨人への“恩返し”を誓う選手がいる。外野手の大田泰示(27)だ。
08年ドラフト1位で巨人に入団。大型スラッガーとして1年目から注目されたが、好不調の波が激しく、スタメンでは起用されず。しかし昨年、トレードで日本ハムへ移籍すると、キャリアハイとなる15本塁打を放つなど長距離砲の才能が開花。今季は主に2番打者として起用され、つなぎのイメージが強い打順ながら、自慢の長打力を前面に押し出してすでに10本塁打(5月24日現在)するなど、本格化している。
「打撃だけでなく取材に答える表情もまるで変わり、何を聞いても明るくハキハキ答えるようになりました。昨年の巨人との3連戦でも10打数7安打2本塁打と活躍。今年は東京ドームでの対戦ですから、巨人は本拠地で痛烈な“恩返し”をされそうです」(スポーツライター)