トラの低迷は打線の低迷につきるが、金本知憲監督にとって、最大の誤算は4番を予定して獲得したウィリン・ロサリオの不振だろう。不動の4番として期待されるも、5月12日の広島戦から打順は5番に下げられ、一度は4番に戻ったが、27日の巨人戦から7番に下げられた。30日に行われたセ・パ交流戦でソフトバンクに敗れた試合では、3打席連続三振に終わった。
「性格はマジメ。不振はオープン戦途中からでしたが、金本監督が『それでも4番』と報道陣の前で言い切ったのを伝え聞き、必死に練習していました。左足を上げるなどの試行錯誤を続けるのもマジメさゆえです」(在阪記者)
そのマジメさが報われないのはかわいそうだが、努力の仕方にも問題はあるようだ。たとえば、ロサリオの後の5番を任されることが多い福留孝介は目的に応じて、試合前の練習メニューを変えている。
「ティー打撃の練習にしても、目的に応じて変えています。ボールを上げる間隔を短くしてもらい、スイングスピードを高めたり、逆方向に流すティー打撃をやっている日もありました」(前出・在阪記者)
鳥谷敬にしても、そうだ。全体練習前に自主トレをするのだが、球場入りはいつも1、2番を争うほど早い。それは、若手時代から今日までまったく変わっていない。「準備運動やストレッチに長く時間を掛けるようになったので、むしろ球場入りの時間は早まった」(関係者)との声も聞かれた。
「ライバル球団の巨人・阿部にしても、年齢とともに練習時間はむしろ増えています。瞬発力がスイングスピードを落とさないため、トレーナーにお願いして、個別練習メニューを作成しています」(前出・関係者)
5月31日時点で、阪神は5勝7敗と巨人に負け越している。ロサリオと阿部、4番の力量差が如実に表れた結果だろう。単にバットを振るよりも、目的に応じて練習メニューを変えたほうがよほど効率もいい。金本監督はロサリオに「努力の仕方」を教えてやるべきだ。
(スポーツライター・飯山満)