W杯出場国の多くが「G組は三つ巴」として、FIFAランク60位の日本は「蚊帳の外」と分析。国内からも予選突破どころか、「3敗、いや1点も取れない」と酷評する声が聞かれる始末だ。スポーツ紙デスクによれば、
「状況は10年・南アフリカ大会当時に似ています。壮行試合で負け、開幕直前の親善試合でも光明が見えず、岡田武史監督は阿部勇樹をアンカーとして配置し、専守速攻に切り替えた。エースの中村俊輔を外し、個人技にたけた松井大輔と、運動量を誇る大久保嘉人をシャドー(1.5列目)に指名、ワントップの本田の決定力に賭けた。西野監督にしても、守り勝つサッカーをイメージしていると思います。壮行試合では3バック基調の3-4-2-1でしたが、W杯では5バックに切り替えながら2ボランチの7人で守りきるつもりでしょう」
となれば必然的に攻撃陣は3人で、トップは大迫勇也(28)で不動。シャドーの2人がポイントとなる。W杯の日本代表戦を現地で見続けてきたサッカーライター・元川悦子氏が解説する。
「5月21日から代表合宿がスタートし、26日から本格的な戦術練習に突入。新指揮官が導入を明言していた3バックシステムの構築が始まり、同時に攻撃陣の組み合わせを試していました。それを見るかぎり、シャドーに関しては、宇佐美貴史(26)が現時点でのファーストチョイス。本田と右ウイングバック併用の原口元気(27)が続き、香川の序列はその下に見えましたね。右太腿の打撲で別メニュー調整を強いられていた乾は、まさにジョーカー。左ウイングバックをこなせるし、ドリブル突破という絶対的な武器を持つ貴重な存在です」
公開練習の5月26日。1本目は右から本田と宇佐美、2本目が香川と宇佐美、3本目が本田と宇佐美という組み合わせで、翌27日は1本目が原口と宇佐美、2本目は大迫に代わり岡崎をトップに置き、本田と香川という「BIG3」の共演が試されたものだったが、
「宇佐美は先発当確。21日の練習後、西野監督は『彼の魅力はフィニッシュ。シュートのバリエーションを持っている。代表でも相手のゴールに近い場所でのプレーを期待している。イマジネーション豊富なので、そういうプレーを期待したい』と、高評価でした」(サッカー協会関係者)
となると、残るシャドーの席は一つだ。
「ハリル電撃解任で共謀し、陰の首謀者と噂された本田と香川がW杯を前にガチンコ対決になるなんて、皮肉なものです」(スポーツ紙デスク)
大物2人による激烈な空中戦が展開されることになるのだ。