3月末でNHKを退職した有働由美子アナウンサーが、10月から報道番組「NEWS ZERO」(日本テレビ系)のメーンキャスターに就任することがわかった。現任の村尾信尚氏は9月いっぱいで同番組を卒業することになるという。この一報に視聴者からは「ジャーナリストになるんじゃなかったの?」といった批判が噴出。形の上では半年のブランクを置いてNHKから民放に移籍したのも同然で、「結局はフリーになって高額なギャラが欲しかっただけでは」との辛辣な指摘も寄せられている。
その「NEWS ZERO」は月~金に放送される帯番組であり、メーンキャスターと並行してジャーナリスト活動も行うのはほぼ不可能。何のためのNHK退職だったのかを問われるのも無理はない話だ。だが、有働のキャスター就任について、彼女なりの狙いを指摘する向きもあるという。週刊誌の記者が説明する。
「民放局でキャスターを務めることにより、NHK在職時には難しかった『みずからの政治的スタンス』を明らかにしていくのではないでしょうか。テレビ局には放送法により政治的中立が求められているものの、多くの報道番組では自民党・安倍政権に対する批判的なスタンスが垣間見られます。『NEWS ZERO』でも村尾キャスターは元財務官僚という異色の経歴もあってか現政権に対する批判は厳しめ。そのスタンスを継承することにより有働は、『時の政権に厳しいジャーナリスト』との立ち位置をアピールしたいのかもしれません」
その有働はNHK在職時、94~97年には「おはよう日本」、そして04~06年には「ニュース10」のメーンキャスターを務めており、報道番組の経験もなくはない。だが、彼女にとって代表的な仕事といえば8年間にわたってメイン司会を務めた情報番組の「あさイチ」であり、紅白歌合戦の総合司会も4年連続で務めるなど、むしろNHKでは貴重なバラエティ力を備えたアナウンサーとして認知されているはずだ。それでも時折、みずからのスタンスを垣間見せることがあったという。
「2016年8月4日の“原爆の日”に『あさイチ』では画面右上に大きく『戦争はイヤだ』とのテロップを表示し、現代の戦争を考えようとの特集を放送。MCの井ノ原快彦が、今の日本では『(大きい流れに)なっちゃったら誰にも止められない、治まるのを待つしかない』と語るなど、安倍政権の暴走を危惧すると言わんばかりの内容でした。その中で有働も『空気を読んで自分の言いたいことを封印することで、大きな空気に加担してしまうのが怖い』と遠回しながら井ノ原の論調を肯定。さらに井ノ原から『有働さんみたいな人、しゃべったらいいと思うんですよね』とけしかけられると、『叩かれてもね』と応じていたのです」(前出・週刊誌記者)
その井ノ原に背中を押されたのか、「NEWS ZERO」で大いにしゃべる機会を手に入れた有働。はたして有働キャスターの口からはどんな政治的発言が飛び出るのか、まずはお手並み拝見と待ち構えている視聴者は少なくなさそうだ。
(金田麻有)