ウオッカ、ヴィクトワールピサ、カネヒキリ‥‥競馬通をピシャリと黙らせる名馬を育成してきた角居勝彦調教師(54)が7月6日午前に酒気帯び事故で逮捕! 所属馬78頭全てが転厩となる異例の処置が取られたが、はたして名伯楽の今後は? そして、所属馬は?
スポーツ紙競馬担当デスクが重い口を開く。
「まさか“世界の角居”が飲酒事故とは驚きました。しかも翌日には、セレクトセールで2億3000万円の高値がついたトーセンカンビーナのデビュー戦が控えている時。『やってくれたな‥‥』と、あきれるしかなかった」
翌日のスポーツ紙は社会面で報じたばかりか、競馬面の馬柱横にまで「角居師逮捕」の太文字がデカデカと躍った。
それにしても、数々の名馬を育てた角居師が、なぜ酒を飲んで運転してしまったのか。栗東トレセン関係者が打ち明ける。
「その日は川崎競馬(ナイター開催)での交流戦に出走馬がいて、栗東への帰宅は深夜になった。恐らく新幹線の中でビールを1、2杯飲んだのでしょうね。悪いことに当夜の関西地区は豪雨のため、交通ダイヤがかなり乱れていた。タクシーがつかまらず、翌日も早い。やむなく帰路に自家用車を使ってしまったというところです」
事故当時、角居師の呼気から検出されたのは、基準の0.15ミリグラムをわずかに超す0.18だった。
「これまで酒席で問題を起こすなどの悪い噂は耳にしたことがない。むしろ、引退後の競走馬を支援する活動に尽力するなど、ひとかどの人物と評されている。とはいえ、飲酒運転で調教停止となり、昨年の菊花賞馬キセキなど、角居厩舎所属の全78頭を急遽、中竹厩舎に移すことを決めた」(スポーツ紙競馬担当デスク)
今年の角居厩舎は関西リーディング2位(33勝)の好成績を収めている(7月8日終了時)。ファンとしては、管理馬の調教に不安を覚えるのは当然だろう。
「全馬転厩といっても、世話をする厩務員は今までと同じスタッフが対応している。自立心あるスタッフが多いので、調教師がいないからといってガタっとくることはないはずです。角居師はみずから管理馬にまたがって稽古をつけるなど、熱心に調教するタイプですが、栗東では『角居師が調教に乗ると、レースで馬が走らない』という定説がある。なので、調教停止期間が長引けば、『むしろ勝ち鞍が増えるのでは』という笑い話も出ています」(栗東トレセン関係者)
今年1月、角居師は実家の宗教を継ぐため、3年後の厩舎解散を発表。もしかしてこのまま引退するのでは、との見方もあるが、
「長期にわたって馬を育成する稼業のため、馬主に迷惑のかからないよう早めに発表しただけ。このまま引退するような無責任なことはしませんよ」(栗東トレセン関係者)
飲酒運転が社会問題となっているため、重い処分が下る可能性もあるが、
「昨年、無免許運転を起こした松田大作(39)には半年の騎乗停止処分が下った。それと同じぐらいになるかもしれません。ちなみに、前半戦の角居厩舎の収得賞金は約5億5000万円。そのうちの1割が角居調教師の収入になる。もし処分が半年なら、5000万円ぐらいを失うことになります」(スポーツ紙競馬担当デスク)
7月12日時点で調教停止期間は発表されていないが、なんとも高すぎる代償となりそうだ。