2歳戦最初の重賞となる函館2歳S。特に大きく荒れることはないが、デビューしたての若駒による一戦。不確定要素は多く、けっこう難解である。
勝ち上がった際のレースぶり、走破時計が評価対象になるが、使ったことで大きく変わる馬も少なくなく、簡単に人気どおりにはいかない。
馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単での万馬券は6回(馬連は4回)。この間、1番人気馬は4勝(2着4回)、2番人気馬は5勝(2着1回)。1、2番人気馬同士での決着が4回あり、まずは中穴傾向の重賞と言ってよさそうだ。
ただ、この時期の2歳馬は、牡牝の性別による力の開きはないと言ってよい。むしろ人間と同じで、女性のほうが成長が早く、牝馬のほうが強い傾向がある。
実際、過去16年間でも出走頭数は牝馬のほうが少ないにもかかわらず、連対率では、牡馬8勝、2着6回に対して、牝馬が8勝、2着10回と、優に上回っている。今回も牝馬には要注目と言っておこう。
ざっと顔ぶれを見てみる。「これは将来性があってクラシックへの期待も」といった馬は見当たらないものの、けっこう素質馬は多く、各馬の力量に大きな開きがあるとは思いがたい。
難解な一戦と言ってよく、悩むところだが、穴党として期待を寄せてみたいのは、ガイセンだ。
牡馬にしては繊細で小柄。このへんからして評価は低いが、軽く見てもらっては困る。レース間隔が詰まっていて、北海道への長距離輸送もあり、当初は陣営も出走には慎重だった。
しかし1週間、体調をしっかりチェックしたものの、カイバ食いは落ちず、また、落ち着き払ってデンと構えていたことから、陣営は自信を持ってゴーサインを出した。
「見た目よりもたくましくて、予想以上の素質馬」
こう言って目を細めるのは岩戸調教師だが、なるほど、410キロ台の小兵ながら、バランスの取れた好馬体はホレボレするばかりで、動かすと大きなストライドでリズミカルに躍動する馬。見た目にもその素質の高さが伝わってくる。
1週前の追い切りは実に素軽い動きで、状態のよさは明らか。ならば大いに期待していいのではないか。
新馬勝ちしたばかりだが、そのデビュー戦はスッと好位につけ、直線であっさり抜け出しての勝利。レースセンスを感じさせる馬で、どんな流れにも対応できそうだ。
血統的にも魅力たっぷり。近親にオープンで活躍したシンコウノビー(ファンタジーS2着)がいて、コマンダーインチーフ(英、愛ダービー)など、一族に活躍馬が多くいる良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
逆転候補は、ニヴィアンだ。未勝利を勝ち上がったばかりだが、この馬もレースセンス抜群で、手綱を取った松岡騎手は「乗りやすく、上を狙える馬」と、その素質にゾッコンである。
こちらもダイワカーリアン(札幌記念)、ムスカテール(目黒記念)などを近親に持つ血筋。チャンスがあっていい。
ホッカイドウ競馬から2頭が参戦。ともに走りそうな雰囲気があるが、エムティアンは穴馬として要注意。祖母はエリザベス女王杯を制したサンドピアリス。手先が軽く、馬場悪化なら一発があっていい。
中京記念は、ワントゥワンが狙いだ。
ひと息入ったが、ここを目標にしっかりと乗り込まれ、好仕上がり。ハンデは恐らく53キロ止まり。道悪になっても問題なく、相性のいい中京だけに、狙い撃ちといこう。