髪は健康のバロメーター。薄毛の原因は不規則な生活にあると言われるが、日々の生活の中にも、意外と簡単な発毛術があった。
「体によい健康的な生活習慣が薄毛予防の基本です。具体的には、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、できるだけストレスをためないように生活習慣を見直してください。また、薄毛を予防するには、正しい洗髪と頭皮を清潔にすることも大切です」(落丸氏)
生活習慣病の見直しは何事も基本となる。改善の手始めに、呑兵衛でもできる発毛術があった。
烏龍茶で洗髪し、烏龍茶を飲むというのだ。
一昨年の「第136回日本薬学会」で、大手毛髪クリニックによる「ウーロン茶エキスに育毛効果がある」という論文が発表されている。以前、「アデランス」が行った世界の薄毛調査(主要21カ国)で最も薄毛率が低かったのが、ウーロン茶の本場・中国。最も高いチェコ、スペイン、ドイツの半分以下だったのだ。論文の概要はこうだ。
〈AGAを引き起こす要因となる5アルファリダクターゼという物質は男性ホルモンのテストステロンと結合することで、より強力な男性ホルモン・ジヒドロテストステロンになる。ウーロン茶エキスにはI型およびII型の5アルファリダクターゼを阻害し、育毛を促進させる効果がある〉
烏龍茶エキスとは、茶の木の葉から精製された烏龍茶葉からエタノール溶液で抽出したものをいう。
「これを塗布したマウスに発毛が見られたといいます。茶葉にも含まれるカテキンの中でもEGCg(エピガロカテキンガレート)という種類には、毛乳頭細胞を増殖させる作用があるそうです」(谷川氏)
毎日の食卓に並ぶ味噌汁も、発毛に効果が大きいという。ただし、味噌は味噌でも、八丁味噌。八丁味噌とは、愛知県岡崎市八帖町(旧八丁村)で生産されている、長期熟成させた豆味噌である。
普通の味噌が蒸した大豆に米麹や麦麹を入れて作るのに対し、米麹や麦麹を用いず、原材料の大豆の全てを麹にして作られた豆麹で、発酵させて2~3年、樽の中で熟成させて作る。濃い赤褐色をしているのが特徴だ。元名古屋市立大学医学部教授で現名古屋Kクリニック院長の岡嶋研二氏が論文にこう書いている。
〈八丁味噌は大豆だけから作られているため、大豆イソフラボンが多く含まれている。大豆イソフラボンには配糖体と呼ばれるものとアグリコンと呼ばれるものがあるが、配糖体に育毛効果がある。さらに八丁味噌には、IGF-1を増加させることが分かっている。IGF-1とは成長ホルモンの刺激を受けて分泌される成長因子のひとつで、アミノ酸からできたペプチドホルモンで育毛に関して重要な働きをしている〉
食べ物の発毛作用は、他にもさまざまな研究が行われている。温州みかん、ブロッコリー、オリーブオイル、イワシ、栗‥‥。全てに一定の効果は見られたという。
さて、薄毛対策には、手元にあるシャンプーの見直しも必要だ。やみくもにシャンプーするばかりではいけない。
米シンガーソングライターのジェシカ・シンプソンは、シャンプーを使うのは月に1~2度だと公表し、育毛、脱毛防止に「ノー・プー」「湯シャン」がブームだという。日本でも「クリニック宇津木流」(形成外科・美容皮膚科)の宇津木龍一院長が自著の中でこう述べている。
〈シャンプーもリンスもやめて水だけで洗髪を続けて7年、髪が太くなり本数も増えた。(中略)湯シャンの目的はシャンプーで落としすぎていたであろう皮脂を残し、頭皮や髪が本来持つバリア機能を取り戻すこと。続けると頭皮や髪に必要な皮脂や保湿成分が洗い流されずに残り、頭皮が活性化。そして丈夫な太い髪の毛が生えやすくなる〉
簡単にマネができるものはどんどん取り入れたい。