テリー そこまで夢みたパティシエを辞めて、この世界に来たのはなぜ?
藤木 今でもお菓子は大好きなんですけれど、お仕事をしているうちにいろいろ悩むことが増えてしまって、「これは趣味にしていたほうがいいかも」と思ってしまったんです。
テリー うん、確かにケーキを作るのは大変な作業だよね。朝早くからの作業で手間暇もかかって、しかもそれが毎日だからなァ。
藤木 はい、それで「ケーキを嫌いになる前に、一度現場から離れよう」と思って仕事を辞めたタイミングで、ウオーキングやポージングのレッスンに通い始めたんです。
テリー ふーん、モデルにももともと興味があったんだ。
藤木 そうですね、ファッション誌で見るモデルさんにも憧れていました。で、今から3年ほど前に、その教室の先生に「レースクイーンを募集しているけど、あなた、興味ない?」と言われたんです。私自身も、ただレッスンを受けるよりは、何か目標があったほうがいいなと思ったので挑戦してみました。
テリー レースクイーンって、みんな背が高くて、髪も長くて、さっきも言ったけど、なんかエッチな雰囲気を持っているイメージがあるじゃない。そこに関してはどう思ったの?
藤木 やっぱり他の方たちと並ぶと私一人だけ背が小さいし、胸もないし、レースのことも全然知らなかったので「本当に大丈夫なのかな?」と不安でした。そんな中でも自分は勝っていかないといけないので‥‥。
テリー おっ、負けん気が強いのはいいね。
藤木 アハハ。当時はみんな髪の毛が長くて、あまりショートヘアの子がいなかったので、私はずっとショートでいこう、と決めたんです。
テリー なるほど、そういう差別化を図ったか。
藤木 あと「ファンの方への対応だけは、誰にも負けないようにしよう」と思いました。
テリー ああ、そういえば「ファンサービス」って言っていたよね。具体的には何をするの。
藤木 まだ名前が知られていない頃はできるだけ控え室に入らず、外に出てファンの方とお話しできる時間を作るようにしていました。
テリー へぇ、それはすごいな。だって、もともと外でお客さんにずっと笑顔で対応しなきゃいけないし、お化粧直しも必要だし、何より高いヒールを履きっぱなしだから、しっかり休める時間が欲しいでしょう。
藤木 本音はそうなんですけれど(笑)、できるだけ外に出てファンの方とお話していました。
テリー そういう時って、どういう話をしているの。
藤木 普通の日常会話だったり、やっぱり車好きな方が多いので、レースの話だったり。
テリー えっ、ついさっき「レースのことを全然知らない」って言ってなかった?
藤木 そうなんです、最初は本当に全然わからなかったので、逆に教えてもらっていました。「なんであのマシン、あんなところで止まっちゃったの?」「あれはね、こういうペナルティがあったんだよ」みたいな感じで。各チームの強さや特色みたいなことまで、いろいろと教えていただきましたね。
テリー なるほど。それはファンもうれしかったと思うよ。自分の持っている知識を、大好きな女性に披露できて、「すごい!」って言ってもらえるんだから。