「スポンサーに縛られず独自色を出さないと…」
キー局とは関係なく独立したテレビ局がある。時に全国区のタレントを生み出すこともあり、視聴者離れにあえぐテレビ界にあって、注目を集めているのだ。
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キー局が苦戦する中、視聴者の間で「おもしろい番組が多い」と評判なのが、「独立局」と呼ばれるテレビ局だ。
テレビ埼玉や千葉テレビ、神奈川テレビの首都圏の独立系3局と、三重テレビ、関西のKBS京都とサンテレビは「東名阪ネット6」を立ち上げ、番組を共同制作。アンタッチャブルの柴田英嗣(37)がサバイバル生活を送る「今夜野宿になりまして」、地方出身の女性アイドルが方言で話す「方言彼女。」シリーズなど、内容とタイトルを聞いただけでも見てみたい気持ちになる番組が多数放映されている。
多くの番組では「制作委員会方式」と呼ばれる方法が採用されている。番組制作会社も制作資金を出資し、依頼する局と対等の立場で番組作りに加わっているのだ。
再放送や地域の情報番組が柱だったローカル局によるバラエティ番組制作の流れは、90年代後半からキー局の系列地方局の間であった。地方局ブームの草分けになったのは俳優、大泉洋の出世作となった北海道文化放送の「水曜どうでしょう」(96~02年放映)の大ヒットだ。KBS京都の伊藤義行氏は、こう振り返る。
「6局の制作費を集約することで単独ではできないレベルの番組が制作できる。個人的には大泉さんの番組が先駆けだと思う。低予算でもおもしろい番組が作れるという可能性を示してくれた」
また、独立局の場合、大口スポンサーが少ないこともあるが、番組制作における自由度は高い。中でも独立系BS局のBSイレブンは、深夜にアニメを集中的に流すチャンネルとして有名だが、報道番組にも注目。問題の当事者をスタジオに呼び、1対1で討論するニュース番組「本格報道INsideOUT」は、CNNの「ラリー・キング・ライブ」のようで中高年層から高い支持を得ている。同局の鈴木哲夫報道局長はこう胸を張る。
「ウチはCSほどではないが、地上波の局ほど放送法による制約はない。だから、キー局ではボツの企画や実験的な番組もできる。今の地上波の局は横並び主義で、視聴率やさまざまな制約に左右され、似たり寄ったりの番組しか流れていない。これに対し、独立局はコアな視聴者を意識した番組が増えている」
独立局の今後について、ネット6に参加するテレビ埼玉東京支社次長の遠藤圭介氏は、「ニーズの細分化を好機と捉え、SNSサイトや紙媒体とも連携し、接触率の高いコンテンツの育成が大事」
とメディアミックスの重要性を説く。
もはやテレビはメディアの王様の時代ではない。それを自覚した独立局が時代に対応した番組を生み出すのは当然の流れなのかもしれない。2013年もテレビ業界の第三極から目が離せない。