テリー 牧原さんから見てのフジテレビのアナウンス部、いったいどんな場所でしたか?
牧原 昔も今も、上下関係なく非常に仲がよくて、環境は抜群だと思います。そういう雰囲気に「厳しさが足りない!」と言う方もいらっしゃるみたいですけれど‥‥。他局では、もっと体育会系のノリだというところもあると聞いていますからね。
テリー 竹刀を持って、新人アナに腕立て伏せをさせるようなスパルタ教育なんかは‥‥。
牧原 そんなの、あるわけないじゃないですか(笑)。でも、そういうことで言うなら、山中先輩は新人研修の時にずっと厳しく指導していて、最終日に「お前たち、よく頑張ったな」と優しい言葉をかけてあげてみんなを泣かせる、みたいなことをよくやっていましたね。
テリー そういう熱血キャラを演じていたんだ、いやらしいなァ(笑)。ちなみに、牧原さんはどういう感じで指導したの?
牧原 私はあんまり強く言えるタイプでもないので、今お話ししているような感じで接しましたね。
テリー だろうね。牧原さんが怒ったところなんて、想像できないもの。そんなフジテレビのアナウンス部に所属して35年、あらためて振り返ってみて、どんな思い出がありますか。
牧原 フジテレビの歴史の中のいちばんいい時代を過ごさせていただいた、と思いますね。入社したら、もう(視聴率の)三冠王を取り始めたような頃でしたし。
テリー 牧原さんが関わった番組といえば、「カルトQ」「カノッサの屈辱」みたいな話題作も多かったしね。特にあの2つは内容もよかったから、牧原さんのナレーションが強く印象に残っているんだ。「とんねるずのみなさんのおかげです」の人気コーナー「食わず嫌い王決定戦」も長かったよね。
牧原 そうですね、23年ぐらいでしょうか。ずっと天の声だけの出演で、実際には最後にちょろっと出るだけなんですけれど、いまだに皆さんに「“実食”のやつ」って言っていただきますね(笑)。
テリー だってあのコーナー、牧原さんの声は欠かせなかったですよ。とんねるずと牧原さんのコンビネーションあっての人気だったと思うな。
牧原 「食わず嫌い王」はああ見えて、実は「徹子の部屋」のような対談コーナーだったんですよ。タカさん(石橋貴明)はゲストからいろいろ話を引き出すところも実に巧みで、それが長く続いた秘訣じゃないでしょうか。
テリー しかし23年となると、終わった時も感慨深かったでしょう。
牧原 定年が近くなった時は少し寂しい思いもしましたが、ちょうど私が辞める直前に番組も終わって、心置きなく最後まで見届けることができたのは、よかったです。
テリー 最終的には、アナウンス室長にもなったんだっけ。
牧原 はい、辞める3年前まで務めていましたね。
テリー それって、アナウンス部でいちばん偉い役職なんでしょう。ならその時、女子アナを全員集めて「もっとミニスカートをはくように」「胸の谷間をしっかり見せるように」みたいな指導をしなきゃダメじゃないですか。
牧原 そこまでいくと指導じゃなくてセクハラじゃないですか(笑)。私はあまり偉そうにはできませんでしたしね。
テリー 残念。俺ならダメモトで言っちゃいそうだけどなァ。