こうした健康促進のほかに、「食中毒の予防」などでも、味噌の効用は注目されている。
97年に「日本食品分析センター」が、病原性大腸菌O-157を味噌に大量添加して菌の消長を測定。その結果、O-157が増殖できず、徐々に死滅することがわかった。
菌の種類や保存温度などによって異なるが、熟成中の味噌にO-157の菌液を添加・混合して気温30度の状態で保存したところ、O-157は3日で全て死滅。気温20度でも大幅に減少する結果が出たというのだ。
測定を委託した「全国味噌工業協同組合連合会」の担当者が話す。
「O-157だけでなく、他の病原菌が味噌に混入して食中毒を起こしたという症例は、現在まで一例も報告されていません」
これほど多くの効用を持つ味噌だが、ある理由から、特に血圧の高い人には敬遠されてきた。それは塩分である。高血圧の予防に大敵の塩分が含まれている点がマイナスイメージになっていた。
しかし17年、広島大学の研究グループによって、「食卓塩と同量の塩分を味噌から摂取しても、血圧は上昇しない」ということが明らかになった。
小林教授も次のように話す。
「具体的に味噌のどの成分に血圧を下げる作用があるのかは特定されていませんが、唯一の弱点と言っていい塩分が血圧の上昇と無縁なのですから、味噌を敬遠する必要はありません。また、『りんご酢』には、体内のよけいな塩分を排出する効果のあるカリウムが豊富に含まれています。この点からも、塩分の心配は無用と言えるでしょう」
「長生きみそ玉」にお湯を注ぐだけのプレーンで飲んでも十分に健康効果が期待できるが、摂りたい栄養素を含んだ食材を組み合わせれば、その効果はさらに高まる。中でも小林教授が推奨するのは、「さば缶とたけのこのみそ汁」だ。
「さばには、血圧を下げる効果のあるDHAとEPAが豊富に含まれています。高血圧の予防には最適の一杯と言えるでしょう」
また「長生きみそ玉」は、味噌汁だけではなく、おかずの調味料としても使い勝手がいい。ここでは一例しか紹介できないが、小林教授の著書には、オムレツやリゾットなど豊富なメニューのレシピも掲載されている。
さまざまな病気の予防につながる味噌パワー。健康のためにも、あらためて食事のメニューを見直してみてはいかがか。
■レシピ例
【脳を活性化】さば缶とたけのこのみそ汁
材料(2人分):長生きみそ玉・2個/さばの水煮缶・100g(2分の1缶)/たけのこ(水煮)・80g/酒・大さじ1
作り方:1.たけのこを3ミリの薄切りにする/2.鍋に酒、水300mlを入れ、蓋をしてひと煮立ちさせる。たけのこを加えて1分加熱する/3.火を止めてみそ玉を加えて溶かす/4.器にさばを入れ、2を入れる。お好みで小ネギの斜め切りを添える
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【ストレス解消】みそチーズトースト
材料(2人分):長生きみそ玉・1個/食パン(5枚切り)・2枚/バター・10g/はちみつ・小さじ1/ピザ用チーズ・30g
作り方:1.耐熱容器にみそ玉、バターを入れてラップをかけ、電子レンジで20~30秒加熱して溶かす/2.1にはちみつを加え、混ぜ合わせる/3.食パンに2を塗り広げ、チーズを散らしてオーブントースターで焼く
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【ストレス解消・食欲増進】レンチンキーマカレー
材料(2人分):長生きみそ玉・2個/ごはん・適量/合いびき肉・150g/ミックスベジタブル(冷凍)80g/卵黄・2個/ドライパセリ・少々/(A)カレー粉・小さじ2+トマトケチャップ・大さじ2
作り方:1.耐熱性のボウルにひき肉とAを入れてひと混ぜする。ミックスベジタブル、みそ玉を加え、ラップをかけて電子レンジで約4分加熱する/2.電子レンジから取り出し、全体をよく混ぜ合わせ、再びラップをかけて電子レンジで約4分加熱する/3.全体に火が通ったら、ごはんに乗せ、中心に卵黄を乗せてパセリを振る