党人事で重要なポジションに入った高市氏と野田氏だが、安倍総理の真意はどこにあるのか。政治評論家の浅川博忠氏が解説する。
「総選挙で294議席を取りましたが、女性票は少なかった。登用したのは参院選での女性票獲得ありきが狙いです。総務会には会長代理で二階(俊博)さんが入るし、政調会には会長代理で塩崎(恭久)さんが入ります。2人は飾りにして、実務は経験豊富な人がやるということでしょう」
実際に安倍総理は、官邸が中心になって政策を作り、党の政策は官邸の意見より優先順位を低くする「政高党低」と見られている。前出・政治部記者が語る。
「安倍総理としては2人を試してもいます。高市氏には『自分がうなる政策を出してみろ』、野田氏には『党をまとめてみろ』というメッセージです。夏の参院選は石破幹事長とこの2人が自民党の顔になります。選挙を通じて地方党員との関係は濃厚になり、メディア露出は増えますから、結果をきちんと出せば、お飾りの立場から自民党中枢部の有力議員に昇る可能性は十分にあります」
安倍総理がこの2人よりも評価しているのが、入閣した森雅子少子化担当大臣(48)と、稲田朋美行革担当大臣(53)だ。大臣は野党との答弁や担当部署の官僚とのやり取りをしなければならず、政治家として相当な経験を積むことができる。前出・政治ジャーナリストが語る。
「稲田氏は超タカ派の女性議員で安倍総理に心酔しています。彼女の過激なヤジは有名で、入閣は『自分の兵隊として頑張ってくれ』という意味でしょう。今回の目玉は森氏です。とにかく頭が切れる。弁護士としてアメリカに留学し、05 年に金融庁に入庁しました。07年の参院選で初当選を果たし、私生活では夫と2人の子供を持つスーパーウーマン。当選1回での入閣が期待の表れです」
改選で7月の選挙を戦わなければならない森氏だが、選挙区・福島県は0増4減の影響で一人区となってしまった。厳しい戦いを勝利で終わることが、今後の将来を決定すると前出・政治部記者は語る。
「自民党には『選挙に弱いヤツは出世させない』という絶対の掟があります。比例での復活当選ではなく小選挙区での勝利が絶対で、今回重用されている女性議員の多くは、09年の衆議院議員選挙で逆風をくぐり抜けて当選した議員です」
小泉チルドレンとしてもてはやされた片山さつき氏(53)と佐藤ゆかり氏(51)が象徴的である。2人とも09年に負け、10年の参議院議員に鞍替えして勝利したが、党人事や内閣の要職からは遠い場所に追いやられている。復活当選を果たした小池百合子氏は党広報本部長になったものの、昨年9月の総裁選で石破氏を応援してさらにミソをつけ、
「年を取りすぎて面倒くさいという理由で完全に安倍構想外に置かれた」(前出・政治部記者)という。