閣僚や党の要職に女性議員を積極的に登用した安倍総理。7月参院選後に行われる内閣改造でさらなる寵愛を受けようと、“アベージョ”たちが必死のアピール合戦を繰り広げている。公開中の映画よりも濃厚な自民党版「大奥」の覇権争いをノゾいてみると──。
自民党本部6階。古びたエレベーターを降り、突き当たりを右に曲がれば総務会長室、左に曲がれば政調会長室がある。この廊下を境に火花を散らすのは、総務会長の野田聖子氏(52)と政調会長の高市早苗氏(51)だ。1月6日放送の「新報道2001」(フジテレビ系)で、女性の社会進出の数値目標について真っ向から対立した2人だが、政治部記者が解説する。
「当選回数は野田が7回で、高市が6回です。閣僚経験も野田のほうが多い。総務会は自民党の最終意思決定機関です。政調会は政策を生み出すところですが、高市がどれだけ政策を提出しても野田が首を縦に振らなければ党政策として認められません。重みとしてはわずかに野田のほうが上ですね」
国会議員としての野田氏の滑り出しは順調そのものだった。故・小渕恵三氏が総理だった時に郵政大臣に任命され、小渕総理から「将来の女性総理候補」として持ち上げられた。一方の高市氏はメディアに頻繁に登場するものの、目立つ部分はタカ派発言と推定Fカップのバストくらい。この2人が党本部のフロアを二分する地位まで接近した理由は「男」にあるという。政治ジャーナリストが語る。
「昨年9月に安倍総理が総裁選に勝った時、高市氏は真横に座って号泣して喜んでいました。こういう媚びもあって党内政治はうまい。04年には同じ自民党の山本拓氏と結婚し、議員として伸びた。その翌年、野田氏が郵政民営化反対で離党すると、その間に着々と実力をつけ、第一次安倍内閣ではついに入閣を果たした。一方、復党した野田氏は焼き肉店などを経営する男性と事実婚をする。11年に卵子提供を受けて体外受精による不妊治療を行い50歳で出産した。このあたりから政治家としての成長が止まり、高市氏に追いつかれたのです」
政治姿勢はタカ派である高市氏のほうが総理に近いと言われている。しかし、野田氏には復党した時に、安倍総理に強い影響力を持つある人物に救済された経緯がある。自民党関係者が振り返る。
「野田氏は『郵政に反対しない』旨の誓約書を書かされて復党しましたが、この時、安倍さんがいちばん復党を望んでいたのが平沼赳夫さんでした。ところが、平沼さんは誓約書の署名を断固拒否し、『自分はいいから野田氏を復党させてくれ』と安倍さんに頼みました」
安倍総理と平沼氏は保守系議連・創生「日本」で、会長と最高顧問の間柄。平沼氏の後ろ盾があることで、安倍総理も野田氏をむげにはできなくなっているという。
「復党後、野田氏は自民党の女性国会議員による女子会を結成しました。酒が強く豪快で、姉御肌の野田氏を慕う女性議員は多く、それに小池百合子氏(60)が嫉妬していた。ところが野田氏は、『小池姉さんがいないとまとまらないよ』となだめて、自民女子会のドンとなっています」(前出・政治ジャーナリスト)
野田・高市両氏の実力は、現在のところほぼ互角のようである。