─そのエネルギー問題ですが、原発はどうなるんでしょう?
はい、「脱原発」ではありませんね。だから電力会社の株がものすごく上がっているでしょ。あれはやっぱり原発が再開できる、と期待してるからですよ。原子力規制委員会が調査して、活断層があるというところはさすがに無理ですが、問題がない場所から運転再開していくでしょう。
─安倍総理はベストミックスと言っていますが。
うまい言い方ですね。あれは日本語に訳せば原発を残しますという意味なんです。エネルギーは原発と再生可能エネルギーと火力発電をベストミックスすると。今年は次々に原発再稼働となって反対運動が盛り上がって大きなニュースになりますね。
東京電力管内ではまず、柏崎刈羽原発が筆頭になります。東京電力が電気料金を値上げしたでしょ、あれは柏崎刈羽が稼働することを前提にしてこの程度の値上げで済みますよって話なんです。それがなければ電気料金もっと上げます、とこういう話なんですね。
─そうだったんですね。電力料金値上げに消費増税と庶民生活は虫の息です。
ええ、消費増税は景気が上向きになれば三党合意の下でやることになります。ただし、景気が好転しなければ、デフレから脱却する前に消費税を上げるべきではないと、自民党は消費増税を停止する法案を掲げ、7月の参院選を戦うこともできるんです。
─今度も自民党が圧勝しそうです。
今年の4~6月期に景気がよくなってくれば消費税は上がります。で、上げた分のお金は「国土強靭化計画」に使われることになる。
─消費増税は社会保障のためだったのでは?
そういう話だったはずですけどねぇ。でも、景気が回復しなければ増税は見送りになります。三党合意の中に、景気が悪かった場合には増税を見送るという条項が入っていますから、その限りにおいては公明党だって反対できません。公明党だって、人気を考えますから、消費税を上げたくないでしょ。安倍政権はその2段構えで参院選を戦えるわけです。
輸出産業に復活の気配あり
─今年、希望を持てる明るいニュースはありますか?
なるほど、それではこういう話はどうでしょう。12年は、各国の指導者が次々に代わりました。新指導者は国民の支持を得るためについ内向きの政策になり、対外的に強硬策に出ました。その結果、国際関係は不安定になったわけですが、今年はそれが落ち着いてくるわけです。
例えばロシアは、メドベージェフ氏に代わって真の実力者のプーチン氏が大統領に返り咲いたでしょ。となると、プーチン氏は日本との北方領土の問題を解消することができるわけです。強い政治家は、妥協しても国内の批判を打ち消すことができるんですよ。
─それは、ぜひとも期待したいところです。
中国は昨年11月の党大会で習近平氏が共産党トップの総書記になりましたが、まだ日本との関係では大胆な妥協はできません。ですが、今年3月の全国人民代表大会で国家主席となり、名実ともに中国のトップに立てば、今度は安定政権が10年間続くわけです。そうなると日中がいつまでも悪い関係でいいわけがないというのはわかっています。中国だって景気がよくないわけですから、長期的には日中関係が少しずつ落ち着いてくることになる。それは5年の政権がある韓国だって同じなんです。昨年12月に朴槿恵氏が女性初の大統領に選ばれましたが、特に韓国の大統領は就任初期は日本との関係を改善しようとしてくるはずです。もちろん、竹島問題は別に置いた話ではありますがね。
アメリカのオバマ大統領だって、これから4年政権があるわけでしょ。もう次はないわけですから2期目は思い切った政策が打ち出せるわけです。
─少しホッとしました。あとは我々の暮らしさえ改善されればうれしいんですが。
そうですね。日本国内ではこれから輸出産業に光が差してきます。電機産業も日本製品は品質がよくても値段が高いから韓国のサムスンやLGにやられっぱなしでした。ですから円安で輸出価格が下がってくればまた競争力が上がってくるわけです。これらの産業を中心に景気はよくなる可能性があります。
株価が1万円まで上昇したのは日本の個人投資家が少しずつ株式投資を再開している気配があるからです。株や土地の取り引きが行われ、今までため込んでいたお金が回りだせば少しずつではありますが日本経済も回復するでしょうね。
─ますますほっこりしてきました。
とはいっても、インフレでモノの値段が上がっても給料が上がるまでには必ずタイムラグがあるんです。今年前半は物価だけが上がる苦しい生活になります。それに、とんでもないインフレになっちゃったりすると大変ですよ。いくら給料が上がったって追いつかなくなります。
─それだけは勘弁してほしいです。
ハハハ、そうでしょう。あれだけ大騒ぎしたユーロ危機だってギリシア、イタリア、スペインだって落ち着いてきました。考えてみれば12年はいろんなところで大変な事件が起こりましたが今年はそれが一気に落ち着いてくるわけです。どうです、ほんのちょっとだけいい話でしょう。神社のおみくじで言えば、「年の初めは厳しいこともあるが後半は上向いてくる」、まぁ言ってみれば13年は「小吉」ということです。
─小吉ですかぁ。
はい、いちおう「吉」ですし、それで我慢しましょう。
─わかりました。どうもありがとうございました。