多数の女性が登用された理由は、参院選対策の他にもう一つあると明かすのは、前出・政治ジャーナリストだ。
「安倍氏の悲願は『憲法改正』です。長期政権で大願を成就したら小泉進次郎氏(31)を後継者に指名したいようです。最大の問題は彼が若すぎること。そこで考えたのが日本初の女性総理のワンポイント起用です。実現すれば大きな風が吹くことは確実。そこで小泉につなぐというプランです」
今回、試練を与えられている“アベージョ”たちは、実はポスト安倍の候補とも言える。はたして党内では誰が女性総理として考えられているのか──。
「ずばり、小渕優子(39)です。亡き父・小渕恵三氏の地盤をみごとに引き継ぎ、とにかく選挙が強い。財務副大臣になりましたが、今回の安倍政権は経済を最重要視しています。『この機会に財務・金融を学んで成長しなさい』というメッセージでしょう。任期中に非業の死を遂げた総理の娘というエピソードに加え、受け継ぐ予定の小泉進次郎氏との年齢差もベストです」(前出・政治ジャーナリスト)
そんな小渕氏が「姉さん」と呼んで慕うのが野田聖子氏だ。
「日本酒を愛する女性議員の会」では野田氏が会長、幹事長に小渕氏が名を連ねているほど。ポスト安倍レースでも強力タッグを組むことになるだろう。
小渕氏同様、安倍総理に期待されているのが丸川珠代氏(41)だという。丸川氏といえば、07年参院選に初出馬。演説時に聴衆からのヤジに半べそをかいた姿も思い出されるが、5年間で飛躍的に成長したということか。前出・政治部記者が語る。
「夫は衆議院議員の大塚拓氏ですが、とにかく選挙に弱い。落選し浪人中の夫を支えている間に、苦労を経験し胆力が上がっています。初出馬の時は選挙区に別な候補者が予定されていましたが、『丸川さんを』とねじ込んだのは他ならぬ安倍さんです。政治家・丸川珠代の生みの親が総理ということになります。総裁選でも高市氏のように表に出て大騒ぎすることもなく、たくましい大人の政治家になったという印象です」
さらに、三原順子氏(48)も安倍総理の寵愛を受けるアベージョの一人。彼女の武器は子宮頸がん撲滅一本だが、党内の評価はうなぎ登りだという。
「自民党では毎朝、部会があるのですが、彼女の出席率は皆勤賞に近い。ベテラン議員も『タレント議員だとバカにしていたが、あれほど真面目とは思わなかった』と驚いています。話を聞く時にジーッと相手の目を見てそらさない。永田町に生きる海千山千の政治家といえども、三原氏のメデューサのような視線には固まるそうです」(前出・政治部記者)
彼女たちはどのような形で活躍を開始するのか。前出・浅川氏が解説する。
「国会が始まると予算委員会で12兆円の補正予算があります。そうした各委員会で女性の質問の度合いを増やす形での登用が考えられます」
“総理に抱かれる”べく大奥と化した自民党。アベージョの覇権争いは始まったばかりだ。