森氏が続ける。
「自民党としてはやはり、『知事与党』になりたい。何しろ知事は都の膨大な予算権限を握っており、その点については総理大臣よりも権力を持っていますから。勝ち馬に乗ろうと考えるのは当然です。公明党票についても、支持母体の創価学会内に『2割ぐらいは小池に回しておけ』と指示が出ているとの話もあった。こういう選挙の時には『二面作戦』を常にやるものなんです。石原親子の発言の裏には、増田氏の追い上げムードが出てきたことと、逆に『でも増田氏で大丈夫か』という不安からくるものがあった。自民党がかなり焦っていたのは事実で、それが如実に表れた暴言です。伸晃氏は選挙後に『あの発言は申し訳なかった』と言って手打ちすればいい。政治の世界では、こんなことは当たり前の話です」
当然ながら、維新サイドも、都知事選での小池支援に回った。ポスター貼りに関係者が協力すると、ついに橋下氏みずからも登場。
「ツイッターで鳥越氏をコキ下ろす大批判を繰り広げましたよね。過去の女子大生との報道を受けて、〈鳥越さん、訴える前に、いつも政治家に言っていた説明責任を果たしなさい〉といった具合です。すでに引退している身で、わざわざそんなかみつく必要もないのに。もちろんこれは、小池氏への間接的な援護射撃です」(政治部デスク)
こうした駆け引きを経て、小池氏がもくろんでいた「その先」とは何なのか。
「小池氏はまず、都議会で盤石な体制を築くことに主眼を置きます。その結果として、『小池新党』の立ち上げがある。この点、維新と合体するというのは、ちょうどいい。維新も地域の政治団体、地域政党から出発し、拡大させているので、それをモデルにすればいいのです。さしあたって、都知事選で小池氏を応援したことで除名処分が予想される自民党都議5人と新会派を結成。そして来年6月の都議選前に新党を立ち上げ、候補者を送り込みます。もちろん選挙協力を受けた維新とは、選挙後に地域連合として連携する。かつての維新のごとく、急進勢力となりうるわけであり、自民党と協調すれば都議会最大派閥を築くことも可能です」(前出・政治部デスク)
そうして都政を掌握した小池氏が最終目標とするのが、新党での国政掌握、日本支配の「クーデター」だ。
「自民党の参院選圧勝で、早くても来年後半だと言われる衆院選に候補者を送り込み、国会議員も多数抱える政党へと飛躍させる。都知事を2期務めたあとに、総理大臣の座を狙う、との野望をまだ捨てていません」(前出・政治部デスク)
改憲勢力たる維新との合体で安倍政権に絡む小池新党。「(安倍総理と)対等の立場でいたい」とオフレコで話しているという小池氏の本音は、対等などではなく「逆転トップ」なのだから。