「手のひら返し」は自民党内でも見られた。これまで党内最大の理解者だった、二階俊博幹事長(77)を怒らせてしまったのだ。
火種は、都知事選で党の方針に“造反”して、小池氏を応援した7人の区議の処分についてである。都連側には除名を求める声が多い中、対立を避けるため、二階氏が間に入って処分を見直すように動いていた。そのやさき、造反区議側が二階氏に誘われた食事会を断る“暴挙”に出たのだ。その理由を政治部記者が説明する。
「先の衆院補選で、小池さんの最側近の若狭勝氏(60)が当選しました。しかし、小池さんはダブルスコアで圧勝できると思っていたんです。選挙期間中に自民党と距離が近くなりすぎて浮動票が集まらなかったと分析した小池さんは、二階さんの誘いを『小池派』の区議たちに断らせることで、再び自民党に頼らないイメージを作りたかった」
だが、この作戦は裏目に出てしまう。温厚と評される二階氏だが、区議から食事会をキャンセルされ「全身を震わせるほど大激怒した」(前出・政治部記者)というのだ。
サジを投げた二階氏は、処分を下村博文都連会長(62)に丸投げ。11月28日に自民都連が、「小池派」区議の代表者2名に意見聴取を実施。終了後、都連側は「(小池派区議から)自民に残りたい」という意向を伝えられたと発表している。
「その後、区議側からこの発言を否定する意見も出てきた。円満な決着はなさそうです」(都政担当記者)
加えて、小池新党の礎と目され、始まる前から期待の高かった「小池塾」も、雲行きが怪しくなっていた。入塾料5万円(女性4万円、学生3万円)、2900人もの生徒を集め、約1億円を調達したと言われるが、肝心の中身は「ぼったくり」と批判されているのだ。
「これまで登壇したのは高野之夫豊島区長(78)や元都知事の猪瀬直樹氏(70)などガッカリなメンツばかり。会食や個人面談も一切なく、カルチャースクールと変わりませんよ」(同塾塾生)
2回目の講義では、出席人数はガタ落ち。「目玉」として呼ぶ予定だった橋下徹前大阪市長(47)にオファーを出したが、〈こんなややこしい仕事はやらない方がいい〉と自身のツイッターでつぶやかれ、断られてしまった。
「今後は選挙の出馬指南などで別料金を取る“追加プラン”を設けて、テコ入れする予定ですが、生徒からの評判を回復するのは‥‥」(同塾関係者)
小池塾の肩透かしや五輪独自路線の失敗に、自民党中堅議員はこう話す。
「民進党の前原誠司元外相(54)が八ッ場ダムの時にやったのと同じで、言うだけでしょ。党内で小池さんは『口だけ女番長』って呼ばれているよ」
政治評論家の浅川博忠氏も行く末を案じる。
「パフォーマンスばかりで発言が軽い。新しい案が枯渇すれば、4年間の任期を待たずに辞任するかもしれません」
小池氏の勢いは、みずからの「旋風」に自分があおられて、飛ばされそうな情勢である。