12月12日放送のラジオ番組「たまむすび」(TBSラジオ)で、お笑いコンビ博多華丸・大吉の博多大吉が、フジテレビの限られた番組でしか新ネタをおろさない“真っ当至極な理由”を語った。
「大吉は意外や意外、最新設備の劇場が使いづらいと訴えたんです。理由は、観客の音を全部吸ってしまい、笑い声がステージまで届かないから。つまり、観客の反応がダイレクトに伝わらず、何をやっても『ノレンに腕押し』状態になってしまう。ここぞという時にウケるフレーズを入れても反応が自分に伝わってこないのでは、その後盛り上がるはずもない、というわけです」(芸能ライター)
一方でここなら安心して新ネタをかけられる場所があるのだという。それが、フジテレビの「ENGEIグランドスラム」と「THE MANZAI」の2番組だ。大吉は、ここ何年か単独ライブで新ネタをやらず、このネタ番組でのみかけてきた。その理由は「絶対にすべらないから」だという。
「まず観客の質が高い。本当に漫才好きな観客が興奮してほとんど立ち上がっているかのような姿勢で聴いてくれるとか。さらに、ステージと客席を屋根で囲んだ『劇場スタイルのセット』でやるから、すごくやりやすいんだそうです。観客の笑い声が天井に届き、そこから跳ね返ってステージに飛び込んで来るので、芸人もどんどん盛り上がっていく構造になっているといいます。ノリノリの観客に芸人が乗せられ、ますますステージがヒートアップ。他局のネタ番組はセットにそこまでのこだわりを持っておらず、大吉も新ネタを披露する危険は冒さないということなんです」(前出・芸能ライター)
その2つの番組では、番組出演者に最高のパフォーマンスをしてもらうため、番組関係者が様々な劇場を研究。吉本の劇場「なんばグランド花月」のような「天井」が必要不可欠として、大金はたいてセットを制作しているのだという。
低迷する視聴率ゆえ、フジテレビの番組制作費は削減の一途とも言われる。そんな中でも大吉が絶賛するような「現場スタッフのこだわり」を評価し、フジ上層部は、これからも番組制作の基本に立ち返っていく姿勢をとり続けることが必要だろう。
(塩勢知央)