18年の「今年の漢字」は「災」だった。深刻な台風被害に、7月の西日本豪雨、最高気温連発の酷暑‥‥。そして今年、さらに凶悪な災害の猛威が日本を襲う!!
政府の地震調査委員会は18年2月、「30年以内に南海トラフ沿いでマグニチュード8~9級の大地震が起こる確率が70~80%に高まった」と発表。立命館大学教授で災害リスクマネジメントのエキスパートである高橋学氏が警鐘を鳴らす。
「実は地震の予測に関しては、0.5%でも学者や専門家が『えーっ!!』と驚く高さ。80%は、国が『必ず起こる』と断言しているとさえ取れる数値です。『30年以内』には明日も明後日も含まれます。私もこの19年、ないし20年の東京五輪までに『スーパー南海地震』とも呼ぶべき大地震が起きると推測しています」
五輪開催まで約1年半として、単純計算で19年中の巨大地震の発生確率は60%超ということか。そのさまざまな証左も存在する。高橋氏が続ける。
「懸念される南海トラフ地震とは、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートに圧迫され、跳ね上がることで起きる地震です。同様の仕組みで起きたのが、44年から46年にかけての昭和東南海地震と昭和南海地震。遺跡などの地質調査から近年明らかになってきたのですが、南海トラフ地震は70年~100年周期で繰り返されています。また、昭和南海地震の前に43年の鳥取地震や45年の三河地震が起きたように、11年の東日本大震災でも、08年に岩手・宮城内陸地震が起きている。大地震は発生3年前くらいから、前兆と思われる大きな内陸直下型地震が頻繁に起きます」
実際、すでに「スーパー南海地震」の前兆は現れていた。
「16年の熊本地震や鳥取県中部地震がそれにあたります。同年9月の韓国・慶州地震や、17年の浦項地震も同じ。そして18年6月の大阪北部地震は、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートの圧力に耐えかねて割れ、それが地震となって現れているのです。16年以降、口永良部島などの火山が活性化したことも、その裏付けでしょう。さらに18年12月以降は広範囲にわたりスーパー南海地震の影響による小地震の発生がさらに顕著になっているのです」(高橋氏)
激震待ったなしの状況下でさらに不安な話だが、高橋氏の見立てでは、政府の想定以上に甚大な被害が発生するという。
「政府は南海トラフ地震の発生地を伊豆半島の西側から高知県西部としていますが、もっと広い。伊豆半島東部から沖縄、さらには台湾やフィリピンまでの範囲が被害地域になると考えます。その際には東京湾に津波が押し寄せ、お台場や豊洲などの埋め立て地はもとより、浅草、銀座、有楽町のような低地が飲み込まれます。そのまま造盆地運動で地盤沈下を起こし、群馬県館林市辺りまで届きかねません。沖縄に至っては、低地しかないサンゴ礁由来の島は、津波で洗われ水没してもおかしくない。また地震によりマグマが押し出され、富士山などの火山が噴火することだって考えられます。東京以西の太平洋沿岸部全域で想定される被害者は約46~47万人。政府や自治体の地震、津波への対策はいまだ不十分ですので、一人でも多くの方に自主避難の意識を高めていただきたいです」
肝に銘じよう。