テリー でもミイラになった遺体とあらためて向かい合う行為って、遺族にとっては、つらいものじゃないかな。
ゴリ 僕も「どうして2度も悲しまなきゃいけないんだろう」と、ずいぶんと考えました。でも、洗骨はそういう意味でも、家族というものを強く意識させられる儀式なんです。その頃の僕も母親を亡くしたばかりだったので、あらためて親が子を産んで去り、その子がまた子を産み‥‥という家族の命のリレーを、笑いと悲しみを交えて描きたいと思いました。
テリー この前、主演の奥田瑛二さんと番組でご一緒したんだけど、この映画の話になって、ゴリさんのことを絶賛していましたよ。
ゴリ 奥田さん、テレビ番組など、あちこちで宣伝してくださっているんです。本当にありがたいです。
テリー 奥田さんを主演に選んだ理由は?
ゴリ 10年前に「GOEMON」という映画でご一緒させてもらったのが初対面です。打ち上げの時にはもうエロい話ばっかりしているんですけれど(笑)、その目の奥にある寂しさみたいなものがすごく印象に残っていて。奥田さんのそんな部分を前面に引き出せたら、映画がおもしろくなるんじゃないかな、と。
テリー うん、奥さんを亡くして生きる気力を失っている男の役だものね。今回の撮影時の奥田さんは、どうだったの。
ゴリ 変わらずエロかったですよ(笑)。毎日撮影が終わったあとに飲むと、どんどんスケベな話をし始めて、「奥さんに、いろいろ怒られたなァ」とかニヤニヤしていました。あと、女優の水崎綾女さん。
テリー ああ、奥田さんの娘を演じていたよね。
ゴリ 彼女は今回、妊婦の役なので、シリコンで作ったおもりをおなかに入れてもらっていたんですが、「ちゃんと役を染み込ませたい」ということで、撮影の間はプライベートでも‥‥それこそお風呂に入る以外は、ずっとそのおもりをつけてくれていたんですよ。
テリー すごいな、まさに女優魂だね。
ゴリ その格好で奥田さんと食堂で御飯を食べていると、まるで奥田さんが水崎さんを妊娠させたみたいに見えるんですよね。「マスコミにバレないように、沖縄まで逃げてきたんじゃないか」って(笑)。みんなも声をかけづらかった、なんて言っていましたから。
テリー フフフ、奥田瑛二はまさにそんなイメージ。
ゴリ あとビックリしたのが、出産に臨んだ水崎さんの脚の間に奥田さんが座るという場面のリハーサルで僕が「スタート!」と言った途端、奥田さんが水崎さんの上に乗っかろうとしたんですよ。
テリー えっ、どういうことなの、それ。
ゴリ 僕も慌てて、「カット! 奥田さん、何してるんですか!」と聞いたら、そこで我に返ったみたいで恥ずかしそうに笑って「あ、ごめん、ごめん」と。あまりの暑さで朦朧としていたのと、たぶんあおむけで脚を開いてる女性を見ると反射的に上に乗っちゃうのが奥田瑛二なんでしょうね。まあ、現場は大爆笑でしたけれど。
テリー ハハハ、どんな反射神経だよ。しかし、とんでもないオヤジだね。そういえば、この前会った時も「俺は長く役者をやっているけれど、前貼りをしたのは最初の1回だけだ。俺がしないんだから、相手の女優にもさせないんだ」って、そんなことばっかり言ってたものなァ。
ゴリ もはやAV撮影じゃないですか、それ(笑)。