●ゲスト:ガレッジセール・ゴリ/照屋年之(がれっじせーる・ごり/てるや・としゆき) 1972年、沖縄県生まれ。日本大学芸術学部映画学科中退後の95年、沖縄に住んでいた中学時代の同級生・川田広樹を誘って「ガレッジセール」結成。99年より「笑っていいとも!」(フジテレビ系)に出演し、ブレイク。「SURESUREガレッジセール」(TBS系)、「おはスタ」(テレビ東京系)、「ワンナイR&R」(フジ系)、「アドレな! ガレッジ」(テレビ朝日系)など、多くの冠番組や人気番組に出演する。また、2001年のNHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」に出演するなど、多くのドラマや映画で俳優としても活躍。09年、初の長編映画「南の島のフリムン」で監督・脚本を担当。その後も短編映画を中心に精力的に映画を撮り続ける。2月9日(土)より、本名の照屋年之名義で監督・脚本を務めた映画「洗骨」が、丸の内TOEIなどで全国公開される。
お笑いコンビを基盤としながら個性的な俳優、また映画監督・照屋年之としても活躍中のガレッジセール・ゴリ。このたび公開される監督最新作「洗骨」は、沖縄独自の風習を軸にして描かれる家族ドラマだ。その衝撃的なモチーフとおもしろさに、天才テリーも思わずうなった!
テリー 今日は「照屋年之監督」として話を聞かせてください。さっそくだけど映画「洗骨」観ました、すごくよかったよ。
ゴリ 本当ですか!
テリー 監督作、これが10作目なんだってね(発表順は11作目)。俺、そんなこと全然知らなくて、ビックリしちゃって。
ゴリ はい。地味に13年くらいコツコツと撮っていまして(苦笑)、次回作も撮影済みなんです。とはいえ、ほとんどは短編で、一般公開される機会もないので知らなくて当然ですよ。
テリー 作品タイトルでもある「洗骨」って、沖縄に残された風習らしいけど、実に驚かされたよ。これを映画のテーマにした理由はなんですか?
ゴリ 僕も、最初は怖いもの見たさから興味を持ったんです。粟国島には遺体を火葬せずにミイラ化するまで保存して、家族でそれを取り出して骨を洗う風習がある、と聞いて「何、それ!?」と。しかも、昔はそれを沖縄全土でやっていたらしくて。
テリー へえ、ゴリさんも最近まで知らなかったの。
ゴリ そこから詳しく調べていくと、実は家族が遺体をなでるように洗って、行為の一つ一つがいとおしい、亡くなった方への感謝と愛にあふれた儀式だということがわかってきたんです。だから、どうにかこれを映画にしたいと思って。
テリー 実に丁寧に儀式が描写されていたけれど、何か参考にした資料はあったんですか。
ゴリ 実際の洗骨の様子を撮影したビデオが1本だけ見つかったんですよ。それをもとに、美術さんに忠実に再現してもらいました。
テリー うん、ミイラはとてもリアルでゾクッとしたな。あれは風葬ですよね。
ゴリ はい。土葬して洗骨する地域もあるんですが、粟国島は風葬で、岸壁に穴を掘って作ったお墓に棺桶を入れておくんです。4年もたつと遺体の肉はほとんどなくなりますが、髪の毛は100%残っています。
テリー 映画では亡くなった4年後に洗骨をしているけど、時期はそう決まっているんですか。
ゴリ いえ、それは家族によってまちまちで、10年たってもまだ洗骨していない棺桶もありますね。
テリー じゃあ、時々、家族が「そろそろかな?」なんてのぞきに行っているんだ。
ゴリ いやいや、そんな、沖縄のクースー(泡盛)を作っているんじゃないんですから(笑)。基本は一族が集まる予定で決めるんですが、いろいろな事情があって、なかなかこの日と定めるのが難しいようですね。
テリー ちなみに今、洗骨の風習は沖縄にどのくらい残っているんですか。
ゴリ 粟国島でも、今は8割が火葬みたいですね。地元のお年寄りの中には、「死んでも焼かないで」とお願いしている人がいるみたいですけれど‥‥。