日本ボクシング連盟が臨時総会を開き、助成金の不正流用などで辞任した山根明前会長の除名を正式に決定したのは去る2月10日。除名とは、事実上の永久追放だ。今後、都道府県の下部組織を含め、いっさいの役職に付けないが、連盟は「山根さんと一刻も早く連絡を取らないと…」と“真逆な声”もあげているのである。
「山根氏が会長だった時代に活動の拠点としていたのが、大阪の事務所。そこを閉鎖し、完全撤去することになったんですが」
とはさる連盟関係者。大阪事務所の撤去は、内田貞信氏が新会長に選出された昨年11月時点で決まっていた。しかし、長く山根氏が活動していたからだろう。大阪事務所内には山根氏の私物も多く残っており、中には金庫など勝手に処分できない代物もあるそうだ。
「何度か、連盟側が山根氏に電話を入れたんですが、一方的にしゃべられ、会話になりません。こちらがどうして電話をかけたのか、その理由も伝わっていないのではないか」(前出・連盟関係者)
郵送で一方的に送り返すことも検討されているそうだが、山根氏本人に片づけてもらいたいというのが、連盟の見解だ。
「山根氏が今回の臨時総会に出てきて、反論するとの情報も交錯していました。連盟が電話をかけるたびにいろいろと訴えていたし、一部幹部に対しては、直接電話をかけ、『なぜ、裏切ったんだ?』と責めたてていたそうです」(体協詰め記者)
昨年12月、山根氏とその長男、腹心だった内海祥子元常務理事の除名を2月臨時総会で提議することを決め、連盟は「弁明の機会を与える」と郵送で伝えていた。山根氏は開封もせずに送り返してきたそうだが、「新団体を立ち上げる。付いてくる者はいる」とも一部メディアに発言していた。徹底抗戦かと思えば、別の取材クルーには「ボクシングにはもう興味がない」と吐き捨てていた。
反撃に出るのか、このまま引き下がるのかは、ナゾだ。大阪事務所の撤去日は迫っている。除名処分を下したものの、「大至急に連絡を」というのもおかしな話だが、ハッキリしていることは、山根氏が不満タラタラ。ただ、それだけだ。
(スポーツライター・飯山満)