今シーズンの日本人メジャーリーガーの主役は、この男かもしれない。
シカゴ・カブスに移籍して2年目のシーズンを迎えるダルビッシュ有が順調な仕上がりを見せている。昨季はシーズン序盤に右上腕三頭筋の張りで故障者リスト入りしてしまい、その後、マイナーリーグでリハビリ登板も行ったが、復帰は叶わなかった。わずか8試合に先発しただけで、成績は1勝3敗、防御率4.95。「6年1億2600万ドル(約144億1000万円)」の超大型契約も、バッシング記事の格好の材料とされてしまった。
「日本のメディアの注目は菊池雄星や日本での開幕戦後の去就が騒がれているイチローにばかり向いていますが、回復は順調のようです。スロー調整のマイペース、こういう時のダルビッシュはコワイ」(米国人ライター)
復活に掛ける思いは熱い。その目的は名誉挽回だけではなかった。例の大型契約にも理由があった。今シーズン終了後、契約の附帯事項に従えば、ダルビッシュには「オプトアウトする権利」が発生する。つまり、カブスとの6年契約を途中で放棄することができるのだ。これに対し、「残りの4年8100万ドル(約92億6200万円)を放棄するとは思えない」と予想する声も聞かれたが、
「ダルビッシュがカブスと契約するまで時間を要しました。本命はドジャース残留でした。でも、ドジャースには大型契約を残した選手がほかにいたため、ダルビッシュ側を納得させるだけの年俸を提示できなかったんです。とはいえ、『最低でも西海岸のチームに』という思いは今でも強い」(前出・米国人ライター)
改めて、ドジャースにアタックするには、それなりの成績を挙げなければならない。カブスも残留を要請する場合、残りの4年8100万ドル以上を提示しなければならなくなる。もっとも、不況の煽りで思い通りの契約金は勝ち取れない可能性もあるが、オプトアウトの権利を有効に行使するには、今季は何が何でも復活しなければならないのだ。
「昨季後半、投げようと思えば投げられたはず」(特派記者)
もしそれが本当なら、ダルビッシュは代理人も兼任できそうだ。
(スポーツライター・飯山満)