メジャーでは代理人は徹底して選手の利益を守り、球団がリスクを負わないこの手の不平等契約を了承するケースはほとんどない。それでも屈辱的な契約を認めた背景には、夫人のフリーアナ・成嶋早穂(30)の「指令」があったという。現地ジャーナリストによれば、
「早穂夫人は語学堪能で、フードマイスターの資格を取って栄養面でもサポートするなど、マエケンにとってなくてはならない存在。彼女には頭が上がりません。実は身体検査のデータを全球団に送ってからも、ダイヤモンドバックスとアストロズが獲得に興味を示していたんですが、子供の将来の教育なども含めた環境のよさを考えた夫人の『西海岸!』のひと言で、ロサンゼルスを本拠地とするドジャース以外に選択肢はなくなりました」
さて、注目のインセンティブだが、先発登板数と投球回数をクリアすれば加算されていくというもので、登板15試合で100万ドル(約1億1800万円)、20試合でさらに100万ドル、25試合で150万ドル(約1億7700万円)、その後、30試合、32試合で150万ドルずつが上乗せされる。さらに90投球回で25万ドル(約2950万円)。その後は10投球回ごとに25万ドルが上乗せされ、200投球回に達したら75万ドル(約8850万円)というわけだ。開幕時に25人のロースター枠入りのボーナス15万ドル(約1770万円)も含め、インセンティブだけで総額8100万ドル(約95億5800万円)にもなる。
マエケンも会見で「日本で9年間、一度も長期離脱していない。不安はゼロ。自信があるし、200イニングを投げたい」と、インセンティブのクリアに意欲を示した。昨季は29試合登板で、206回1/3。同様の数字を残せば、年俸は約16億円になる算段だ。先のメジャー関係者は、
「1年はもつでしょう。25試合200イニングは可能じゃないでしょうか」
さて、マエケンがドジャースと結んだ、球団がリスクを負わない異例の契約は各所に波紋を広げている。日本人用の新しい契約スタイルを提示したと、メジャーの各球団の間で評判になっているのだ。
「この契約が悪例となる可能性はあります。最強の労働組合であるメジャー選手会も、球団有利の契約を問題視している。影響を及ぼすと見られているのは、次なる大物、日本ハムの大谷翔平(21)のメジャー移籍に際してです」(スポーツライター)