新元号の「令和」が発表された4月1日。誰もが関心を持っていたその話題を当日の放送で取り入れたのが、沢口靖子主演の「警視庁機動捜査隊216」(TBS系)だった。
同ドラマは、2010年から始まった人気シリーズで、第10弾目。東京を24時間パトロールする通称“機捜”の活躍を描いたもので、沢口はその主任役。都内各地で起こる傷害、強盗、殺人などの現場に駆け付け、主に初動捜査に携わる。
「話題となったのがラストのシーンでした。沢口の上司役のモト冬樹が、別の部下のデート結果のメールを受け、沢口を含めた捜査隊メンバーにこう言ったんです。『元号も平成から令和に変わることだし、ひょっとしたらうまくいくかもしんないぞ』。新元号が発表されたのが放送当日の午前11時40頃で、放送は夜の8時からですから、視聴者は驚きましたよ」(テレビウオッチャー)
この演出については、翌日にモト冬樹がブログで種明かしをしている。映像ごと後から加えたのではなく、モト冬樹が「令和」のセリフを発するタイミングで後ろを振り向く映像にしておき、元号発表後、音声だけを差し替えたのだという。
「『令和』を巡っては、ゴールデンボンバーが発表から約2時間後にミュージックビデオをユーチューブで配信し、DJ集団のレぺゼン地球は、なんと約10分で公開して注目を集めました。明らかに便乗ですが、これにより両者ともフォロワー数が大幅に増えたことは間違いありません。一方、ドラマでは一番早く新元号を出したからといって、金銭的なメリットはまったくない。ただ、放送史に残り、時が経って何度も流れるかもしれない。そうしたこだわりと遊び心は大切なのでは」(テレビ誌記者)
視聴率主義と言われるなかで、何だかいい話である。
(津田昌平)