ミャンマー中部で先ごろ発生した巨大地震は、近隣諸国にも大きな影響を与えた。隣国タイでも揺れが観測され、建設中のビルが倒壊。行方不明者の捜索が続けられており、依然として70人以上の安否が不明のままだ。この地震を通じて、タイ国内の建築物の安全性や、廃墟化した建物の問題が改めてクローズアップされている。
タイでは1997年のアジア通貨危機(通称:トムヤムクン危機)により、多くの不動産開発プロジェクトが資金不足に陥った。その影響でバンコクをはじめとする都市部では、建設途中で放置された高層ビルやショッピングモールが今なお、点在している。
しかし老朽化した建物を取り壊すには多額の費用がかかるため、所有者が経済的な理由で放置するケースが多々ある。不動産市場が低迷している地域では投資対効果を見込めないため、取り壊しの決断が先送りされる傾向にある。また、土地の所有権が複雑で、相続や権利争いによって放置される建物も少なくない。
バンコクのチャイナタウン、ヤワラー地区に住む日本人男性が現状を明かす。
「ヤワラーでは近年、リノベーションされたカフェやホステルが増加していますが、いまだに廃墟となった建物がいくつかあります。今回の地震で、いつ崩れるかわからない建物が増えたのではないかと不安で…。再開発の計画はあるものの、コストがかかるため実行に移せないのが現状ですね」
廃墟化した建物の安全性に対する懸念。とりわけ都市部には密集しており、政府や自治体には放置建築物の撤去や再開発を促進するための法整備が求められるのだ。