さあ、クラシックだ。
第一弾は、むろんのこと桜花賞。価値の大きさはこのあとのオークス以上で、明け3歳牝馬による頂上決戦だ。毎年フルゲート(18頭)、もしくはそれに近い頭数になるが、今年は28頭の登録があり、間違いなくフルゲート。トライアルの一つチューリップ賞を制して目下4連勝のダノンファンタジーを筆頭に、有力視されている馬は実に多い。ハイレベルでの混戦と見られており、見応え満点と言える一戦で、馬券的にもかなりおもしろい。
馬単が導入されて16年になるが、この間、その馬単での万馬券は4回(馬連では2回)。1番人気馬は4勝(2着5回)、2番人気馬は5勝(2着4回)。1、2番人気馬のワンツー決着は5回あり、そう大きく荒れることはない。
とはいえ、多頭数での競馬。昨年勝利したアーモンドアイのように絶対視される馬はおらず、有力どころがこれだけ多いと、波乱の決着ということも大いにありそうだ。
また、毎年のこととはいえ、今回も最大手ノーザンファーム生産馬が最も多く、出走可能馬の半数を数える。しかも、そのほとんどが有力候補と見られている。ダノンファンタジーを筆頭としてクロノジェネシス、グランアレグリア、ビーチサンバ、ルガールカルムといった面々だ。
いずれもチャンスは大いにありと見ていいが、しかし穴党としては、これではおもしろくないだろう。
13年アユサン(7番人気)や15年レッツゴードンキ(5番人気)、17年レーヌミノル(8番人気)のような“一発屋”が隠れてやしないか。それをあぶり出してみよう。
混戦とみた以上、有力各馬にそう大きな力の開きはない。能力は高いながら、そう評価されていない馬がいる。期待したいのはそれ、シェーングランツだ。
藤沢和厩舎では、もう1頭のグランアレグリアのほうが高い評価を得ている。
牡馬に伍してGI朝日杯FSで1番人気に支持されて3着と好走。ならば牝馬同士のここでは、と見るのは当然である。
前走後は、放牧で成長を促し、ここ一本に的をしぼっての調整。思惑どおり、たくましくなって美浦トレセンに帰厩したあと、しっかりと乗り込まれており、陣営は「前走よりいい雰囲気。楽しみ」としている。
しかし、関係者がいくら気のいいタイプで調整しやすいといっても、4カ月ぶりの実戦となるのが、どうしても気になってしまう。
その点、シェーングランツは、トライアルを使われて大幅な良化ぶりを見せている。ならばチャンスがあっていいのではないか。
前走のチューリップ賞(5着)は、3カ月ぶりの実戦。まだ寒い時期でもあり、少し馬体に余裕が感じられた。そのため、しまいが甘くなったと見ている。しかし、それでも勝ち馬との差はコンマ5秒。それだけに巻き返しは大いに可能なのではないか。
周知のようにオークス馬ソウルスターリングの妹。姉は期待された桜花賞で3着に敗れたが、姉よりも末脚が切れるのが魅力だ。
阪神JF(4着)、チューリップ賞と、ここ2戦で期待を裏切ったことから人気が落ちたのは、こちらとしては願ったり。阪神JFは輸送による体重減、前走は休み明けでイマイチの状態だったのが敗因と見たい。
「この中間は、すこぶる順調」とは厩舎関係者が口をそろえるところ。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴で注目してもらいたい馬が、もう1頭、メイショウショウブである。
目下のところ補欠1番手だが、1頭ヤメる馬がいれば出走可能である。こちらも一度使われて、とにかくムードがいい。人気、有力どころは末脚勝負型が多いため、この馬の先行力がモノを言うはずだ。
アドマイヤムーン(ジャパンCなどGI3勝)やヒシアマゾン(エリザベス女王杯)が近親にいる良血。一発があっていい。