印象深いドラマや映画を思い出す時、頭に浮かぶのはヒロインばかりではない。本誌では40代以上の男女1000人に「脇役女優といえばこの人」をアンケート。選ばれた女優の魅力を徹底解明する。
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浮き沈みの激しい芸能界に無数に存在する脇役女優。アンケートでダントツ1位に君臨した脇役女王は、74年に放送されたドラマ「寺内貫太郎一家」で、当時人気絶頂の沢田研二のポスターの前で腰を振りながら、「ジュリー!!」と叫ぶシーンを演じて世に名を知らしめた樹木希林(70)だ。芸能ジャーナリストの二田一比古氏も太鼓判を押す。
「あまたいる脇役の中でも、シリアスからコメディまで演じられる幅広い芸を持つ“名脇役”と呼べるのは、彼女だけなのでは。美形が基本とされる芸能界で、自身のビジュアルを客観視して脇に徹してきた稀有な女優。脇役ながら主演を食ってしまう独特の個性で、視聴者の『何かやってくれるかも』という期待感もあおります」
脇役ながら行数の限られた新聞のラ・テ欄に掲載されることも多いが、これも数字が取れる実力のなせる結果だという。
「女優が記者会見を開く際、あらかじめ用意された質問に答える形が大半。それ以外の質問には答えないのが通例です。ところが樹木希林に限ってはNG質問がなく、中島知子の家賃滞納問題でもわかるとおり、その場で赤裸々に何でもしゃべる。自分の言葉で真実を語る、数少ない女優です」(前出・二田氏)
主演を食うほどのインパクトには欠けるものの、余貴美子(56)が堂々2位にランクイン。その理由を、映画ライターの前田有一氏が分析する。
「美人でしっとりとした色気を放ち、夫を献身的に支える良妻賢母役を演じる機会が多い彼女は、中年男の理想の妻像。癒やし系なので、スナックにあんなママがいたら毎日通う、という男性も多いのではないでしょうか(笑)。夫の一歩後ろをついていく、というキャラクターが世間に浸透した彼女だからこそ、映画『RAILWAYS2』で定年間際の夫、三浦友和に突然離婚を突きつける姿に観客は衝撃を受けたのです」
映画やドラマに欠かせないのが、主人公をいじめる悪役。と聞くと、年内に映画公開する「おしん」に出演している、3位の泉ピン子(65)を思い浮かべる人もいるのでは。共演者をいじめることでも有名だが、前出・二田氏は、こう背景を語る。
「業界内の慣例と世間の認識にズレがあるだけです。漫談の世界から女優になった彼女は苦労人。映画全盛期は京都の太秦撮影所に東京から俳優がロケに行くと、スタッフに照明を当ててもらえない、楽屋で私物を隠されるなんていじめが日常茶飯事でした。そのいじめに耐え抜き芸を磨くという潮流に乗って、鍛えられてきたのが彼女。美貌や人気だけで主演を張るが、芝居は甘い若手俳優にやきもきしてつい口を出してしまうだけなのです」
5位の室井滋(54)と7位の戸田恵子(55)は、声優業を通してさらなる支持を得たという。
「声だけで役も演じる声優は、相当の演技力が要求される。戸田恵子はアニメ『それいけ! アンパンマン』の主人公で確固たる地位を築き、室井滋は映画『ファインディング・ニモ』で声優顔負けの実力を見せつけた。彼女たちからすれば、顔と動作を使ってできる映画やテレビでの演技は朝飯前でしょう」
ここまであげた5人の脇役女優は、いずれも50歳オーバーだが、若手の台頭はあるのか。
まずは、前出・前田氏がまだ読者世代には知名度の低い谷村美月(22)の名前をあげる。
「派手な顔だちではないが、映画を中心に活躍しているため、オーバーアクトと瞬発力が必要とされるテレビ俳優と違い、存在感に“重み”がある。Eカップと噂される隠れ巨乳も今後人気に火をつけるのでは」
一方の二田氏が推すのは、小池栄子(32)だ。
「91センチの豊乳を武器にグラビア界を席巻したが、女優に転身した現在は脇役に専念。若手で脇役を嫌がらない女優はコマ不足のため、仕事が殺到していますよ」
主演よりギャラは落ちるが、その分、拘束時間が少なく数をこなせば稼げるという脇役。ぜひ2人には巨乳を揺らしまくって、脇役道を邁進してもらいたい。