政府が提示した日銀総裁候補に「ベスト」と所属議員が発言したことで、「日本維新の会」内部の“東西バトル”が表面化した。しかし、空中分解寸前の内実を知れば知るほど、党発足の地である大阪からは「アホか!」とツッコミが入りそうなのである。
〈僕の性格は異常であります〉
2月27 日、橋下徹大阪市長(43)は、国会での活動へのねぎらいの言葉もソコソコに、冒頭のような書き出しで維新の会所属国会議員に一斉メールを送った。
もちろん、57人の国会議員全員に宛てたわけではない。特定の議員たちへのメッセージだった。それは、メールの続きを読めば、一目瞭然である。
〈(その異常さは)大阪維新の会出身の国会議員や、中田(宏衆院議員)さん、山田(宏衆院議員)さん、東国原(英夫衆院議員)さんにお聞き下さい〉
要は、宛先は“西”の大阪維新時代からの仲間以外の“東”の旧太陽の党をはじめとした他党から合流した面々だということだ。
その発端となったのは、維新の会国対委員長である小沢鋭仁衆院議員(58)の発言。ちなみに、小沢氏は選挙直前に民主党から移籍してきた“東側”の議員。安倍政権が国会に示していた次期日銀総裁候補の黒田東彦氏(68)に対して、「ベストに近い」と高評価したのだ。
財務省出身という理由で異論を唱えていた橋下氏は当然、ブチ切れる。
「野党としての哲学が見えない。当選ボケだ」
ところが、橋下氏の怒りの対象は小沢氏の発言だけではなかった。この騒動の際に、所属国会議員が「橋下は口を出すな」と発言したことを伝え聞いたことだった。先のメールで橋下氏はこう記している。
〈(暴言の)出所は把握しています。これから口は出しませんが、以後、維新の会にはかかわりません〉
つまり、共同代表に「口を出すな」と言うなら、維新の会なんて辞めてやるというわけである。
これに青い顔になったのは、口火を切った小沢氏や「口を出すな」と暴言を吐いた議員であろう。2月28日には、小沢氏は緊急会見を開き、メールで謝ったことを明かし、こう述べた。
「共同代表だから、(橋下氏には)あらゆることに意見を言っていただいていい」
その後、暴言を吐いた議員が橋下氏に直接、わびを入れると申し出たが、橋下氏は「わかってもらえたならいい」と手打ちしたことを明かした。
ところが、少しも和解などしていなかった。
小沢氏は手打ち後に、周囲にこう話したという。
「あの人(橋下氏)も、やっと国会のルールがわかってきたみたいだ」
国政の素人に何がわかると言わんばかりだ。まさに、頭を下げておきながら、心の中で舌を出していたというわけだ。
政治部記者が言う。
「『口を出すな』と言ったのは、片山虎之助参院議員(77)か、藤井孝男衆院議員(69)ではないかとささやかれています。とはいえ、ベテラン議員は少しも懲りていません。『幼稚園児の駄々じゃあるまいし』とか、『橋下がキレるのは間欠泉みたいなもので、すぐに終わる』と陰では言いたい放題。松野頼久衆院議員(52)が間を取り持とうとしていますが、功を奏していません。実際に、日銀総裁人事にしても国会議員団に一任とは決まったが、賛成するか反対するか決められていない状態です」
そのせいか、手打ち後も橋下氏はツイッターでボヤきまくっている。主に、毒づく相手は今回の騒動を報じたコメンテーターに向けられている。しかも、〈(自分は)ケツの穴が小さいですけど‥‥〉と下品な言葉まで飛び出す始末だ。
これが維新の会の知られざる内実なのだ。