イレブンの活動で被災地の現状を知った進次郎も、被災地のがれき処理を自分の選挙区の地方議員に掛け合ったり、被災者の失業手当の改善を要求し、実現にこぎつけるなど着実に“成果”を上げてきた。自民党福島県連青年局長としてイレブンのアテンド役を何度も務めた丹治智幸県議は、今後のイレブンの活動について、次のように期待を込める。
「地元の私たちが、いちばん恐れているのは、時間の経過によって被災地の現状が“風化”することです。注目度の高い小泉さんによって風化が防止されるのは大歓迎です」
くしくもイレブンの報告会翌日の2月12日の衆院予算委員会で、進次郎は与党議員として初めて質問に立った。前日の意見交換会で住民から「早く仮設(住宅)から出たい」という声が相次いでいた。委員会では根本匠復興大臣に対し、遠慮なく切り込んだ。
「いつ復興住宅に移れるのか、この見通しを示すことが長期間仮設住宅にお住まいの皆様に対するスタートじゃないですか。復興大臣、いかがですか?」
追及は根本大臣ばかりにとどまらない。谷垣禎一法務大臣、太田昭宏国交大臣、新藤義孝総務大臣といった役所のトップにも臆することなく質問を浴びせた。各大臣の答弁のあと進次郎は次のように質疑を終えた。
「確かにそういった諸課題に対する取り組みをやっているのはわかるんですが、恐らく今、テレビで見ている被災地の皆さんは、それだけ網羅されてわかっているんだったら、とにかく早く結果を出してくれと、そういった声がいちばん強いと思います。進捗状況や取り組みの状況がわかるような発信をしっかりとしていただきたいと思います」
千両役者が見栄を切るような締めくくりには、歴戦の大臣たちもかすんで見えた。前出の丹治県議がこう話す。
「委員会はテレビで見ていました。なかなかいい質問でしたね。復興加速の第一歩になるんじゃないですか」
与党に返り咲き、その一挙手一投足に注目が集まる進次郎とイレブン。震災後3年目となり、よりスピーディな復興こそが求められている。
(文中一部敬称略)