今回の四分五裂の危機は、維新の会結党時から指摘されていた。
例えば、結党に自民党から参画した松浪健太衆院議員(41)は、選挙戦を前にブログに書いた記述で、橋下氏の怒りを買った。松浪氏がわびて、橋下氏も応援に駆けつけるなど和解したはずだったのだが‥‥。
政治部デスクが言う。
「選挙戦中に松浪氏は支援者の前で、『今のうちだけですよ。好き勝手にできるのは‥‥。あのガキが!』と言ったそうです。選挙の顔として橋下氏を利用させてもらって、当選したら橋下氏には何も言わせないということです。年下の松浪氏が年上の橋下氏に『ガキ』と言ったのも、国政ではこっちが先輩だという意識の表れでしょう」
若手議員の松浪氏でさえ先輩風を吹かすのだから、ベテランとなると手に負えない。
国会議員団代表の平沼赳夫衆院議員(73)が維新の会初の代表質問で真っ先に取り上げたのが「皇統」だった。維新の会が最優先に掲げる「地域主権」などは、二の次なのである。
さらに、原子力規制委員会の同意人事の採決では、維新の会は「賛成」で申し合わせていたが、平沼氏は起立しなかった。しかも、共同代表である石原慎太郎衆院議員(80)もそろって着席していた。
今回の騒動が勃発した時には、石原氏はカゼをこじらせ入院していた。
「重病説も流れましたが、『橋下くんらしい』と電話で話したのですから、元気なのでしょう。そもそも野党の党首に収まるつもりなどなかった石原氏にとってみれば、国会をサボりたいだけだったのかもしれません」(前出・政治部デスク)
まったく橋下氏の統制が利かない状態なのだ。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう話す。
「一連の組織統治に不安を抱える事態に、橋下氏の怒りが爆発した。その結果、今回の騒動になったと思われます。与党幹部からは『国対の協議の場で、維新の会は信用ならない。民主党のほうがまだマシだ』という声が聞かれるほど、維新の会内部は意見統一ができない。このバラバラの状態を打開する、つまり東と西の溝を埋めるには、橋下氏が参院選に出馬するしかないのではないでしょうか。若手議員からのそうした要望の声は日増しに強まっています」
とはいえ、「大阪都構想」もいまだ実現していない。さらには、大阪市営地下鉄と市立幼稚園の民営化問題など、橋下氏が市長として抱える問題は山積している。とうてい、夏の参院選までに片づくとも思えない。
そのため、今回の橋下氏のキレぶりは、単なる市政での不覚を隠すためのパフォーマンスなのではとも言われている。
政治評論家の有馬晴海氏はこう分析する。
「もともと、橋下氏は今日言ったことを、明日には撤回。今日、怒ってみせた相手と数日後に和解するということを繰り返している。パフォーマンスというよりも、そういう戦略的な生き方をしてきた人なのだと思います。今回の騒動でも、『野党としての哲学』という言葉を使った。これも戦略の一環のはずです。つまり、野党が結集して自民党への対抗軸を作っていこうという呼びかけであり、野党結集がうまくいかないことの焦りの表れとも言えるのではないでしょうか」
もはや、このバトルにツッコミを入れるどころか、「アホすぎまっせ」とアキレてしまうばかりなのだ。