鳩山家関係者が明かす。
「幸夫人の映画熱については脚本の翻訳を手伝った由紀夫氏を含め、安子さんも快く思っていませんでした。その安子さんが亡くなり、幸夫人がその気になっているのを見て、誰かが『待った』をかけなければと、鳩山、石橋の両家では頭を抱えていたんです」
ところが、「待った」の声は意外なところから飛び出した。小沢氏である。
「小沢氏は『ハリウッド映画につぎ込む? 幸に鳩山家の金は使わせない。TPPよりも何よりも映画制作こそ断固阻止だ』といきまいているようです」
こう打ち明けるのは小沢氏の元側近。もともと小沢氏は自由党を民主党に合流させて闇将軍に収まるなど、誰よりも巧妙かつ潤沢に鳩山マネーを政治利用してきた。元側近が続ける。
「最近の小沢氏は『生活の党に未来はない。どうなってもいい』と思い始めている。狙いはズバリ、鳩山マネーを取り込んでの新党結成。小沢氏はかねてから『金は鳩山にたかる。鳩山の財産しかない』と言っていた。鳩山グループや小沢グループを引き抜いて民主党を崩壊に追い込み、日本維新の会以外の糾合可能な野党勢力にも働きかけ、今夏の参院選で一定の足場を築いたうえで次の衆院選で最後の勝負に打って出る、という遠大な作戦です」
実は小沢氏が取り込もうとする由紀夫氏も今年に入り、地元室蘭や沖縄に「東アジア共同体研究所」を設立し、その下で「友愛フォーラム」を全国展開するとの構想を発表。2月25日の札幌での講演では、党籍だけは残していた民主党を離党する旨、宣言してみせた。
「次の参院選に、あるいは次の沖縄県知事選に出馬するか。由紀夫氏は政界復帰を本気で考え始めています。その際の足がかりとなるのが、小沢氏とひそかに進めている新党結成。党名も『新党友愛』で固まりつつあります」(由紀夫氏側近)
いや、その気になり始めているのは由紀夫氏ばかりではない。昨年暮れ、自民党に復党した「政界渡り鳥」邦夫氏の周辺からも、「邦夫氏も『新党友愛』なら乗れる。安子さんを苦しめた兄弟の不仲を解消する絶好のチャンス。場合によっては、亀井静香氏(77)に声をかけてもいい‥‥」
との声が漏れ伝わってくるのだ。前出の森氏は、アキレ顔でこう話す。
「自民と公明と維新、それに民主の一部が水面下で糾合の動きを見せる中、新党友愛がその対立軸になるとすれば一定の意味はあるのかもしれませんが、はたして現在の小沢氏にその力があるかどうか。いずれにせよ、由紀夫氏の政界復帰だけはまさに悪い冗談、『いまさらどのツラ下げて』と言っておきたいですね」
小沢氏が仕掛ける遺産強奪計画。泉下の安子氏もさぞや気がかりだろう。