今季の巨人において、正捕手の座を誰がつかむかは、当初から話題になっていた。本来は生え抜きの小林誠司が持ち前の強肩を活かし勝ち取ればいい話なのだが、ここへ来て西武からFAで移籍してきた炭谷銀仁朗の存在感が増したことで、小林の立場が相当危うくなっているという。
「4年連続でセ・リーグの優勝を逃した巨人は、背水の陣を原辰徳監督に託した。結果、監督は阿部慎之助までもファーストからキャッチャーに戻すことで、さらに争いに拍車をかけるという選択をしました。もともと監督は、リード面で同じ失敗を繰り返す小林に嫌気がさしているとの話もあり、小林にとっては心中穏やかではない今季のスタートだったのです」(スポーツ紙記者)
だが、小林にはエース・菅野智之という“切り札”があった。菅野が投げる際は小林がミットを構えるのが常で、気心もよく合い、14年からバッテリーを組み17年にはともに最優秀バッテリー賞を受賞している。
「今季も菅野が5月15日の阪神戦で6回途中10失点で降板するまで、菅野の登板時のマスクはすべて小林でした。ただ、その前のDeNA戦でも、菅野は勝利は得たものの6回5失点。これらのリードが、ガマンを重ねてきた原監督をついにブチ切れさせたようなのです」(前出・スポーツ紙記者)
10失点の試合の後、菅野は腰痛を理由に二軍で調整となり、復帰したのは6月9日のセ・パ交流戦(対ロッテ)。しかし、マスクをかぶったのは小林ではなく炭谷だった。初のバッテリーは初回にいきなり2死満塁のピンチを迎えたが、炭谷の強気のリードで三振に仕留め、菅野を勝利に導いた。
「これに原監督はご満悦で、試合後、『(小林より)銀ちゃんの方が1枚、2枚とまでは言わないけど、1枚半やっぱり上回っている』とも語っていましたからね。これはある意味、小林不要論を言い放ったようなもの。ダメキャッチャーに可愛い甥っ子を潰させるわけにはいかない──。そうした感情も入り混じった“小林外し”だったのでは」(夕刊紙スポーツ担当)
小林は奮起できるか。
(津田昌平)