“岡山の奇跡”で知られる女優の桜井日奈子が、連続ドラマ「ヤヌスの鏡」で主演を務めることがわかった。8月からフジテレビの動画配信サービス「FOD」にてFODオリジナル作品として放送される。
同作では主人公で優等生の「小沢裕美」が、ふとしたことをきっかけにまったく別の人格を持つ「ユミ」という不良少女に変貌。そのユミは桜井にとって、これまでに演じたことのない挑戦的な役だという。制作側はあえて、不良少女のイメージからかけ離れている桜井に白羽の矢を立てたそうだが、その作品についてテレビ誌のライターが指摘する。
「この『ヤヌスの鏡』は1985年に、当時16歳のリアル女子高生だった杉浦幸を主演にフジが初ドラマ化。今回は34年ぶりの再映像化となります。桜井は当時の杉浦を6歳も上回る22歳ですが、もともと年齢のわりには童顔ですし、女子高生役も特に無理はないでしょう。ただ、心配されるのはその演技力。今年1月期のドラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』(テレビ朝日系)ではヒロインを務めたものの、視聴者からは《これじゃ岡山の奇跡じゃなく、岡山の限界だ》との皮肉が出る始末で、酷評されました。表情自体は悪くないものの演技が画一的で、今回の『ヤヌスの鏡』がテーマとする“二つの人格”を演じ分けられるのか、懸念は募るばかりです」
実はこの、「二つの人格を演じ分けられるか」という懸念を巡っては、34年前の同作の主演を務めた杉浦に対しても問題になっていたという。主演の杉浦は中学を卒業したばかりで、「ヤヌスの鏡」が芸能界デビュー。いわば素人同然だったわけで、その演技力は試写を観たフジテレビ関係者が頭を抱えるほどだったとか。特に不良のユミの演技は絶望的だったそうだが、当時の制作サイドは、まさかの手法でそれを切り抜けたというのだ。
「放送できないレベルの棒演技ながら代役を立てるわけにもいかず、フジテレビでは声を入れ替えるという“荒療治”を行いました。杉浦がユミを演じる時は、声優の野口早苗がセリフを当てていたんです。実在の演者に声を当てた例としては、映画『007は二度死ぬ』に公安調査庁長官役で出演した故・丹波哲郎が有名です。丹波は撮影では英語のセリフをこなしたものの、発音が悪かったことから本編では、イギリス人俳優の吹き替えとなっていたんです。ただ、杉浦の場合は日本語のセリフを吹き替えてもらったわけですから、まさに当時としては前代未聞。もっとも、桜井版の今回の『ヤヌスの鏡』では、どんなに桜井の演技が棒だったとしても、さすがに声を入れ替えるようなことはないでしょうけどね」(前出・テレビ誌ライター)
ともあれ、テレビCMでは“奇跡”のあだ名にふさわしい可愛らしさを発揮している桜井。本作ではどんな不良を演じてくれるのか、ファンとしては楽しみなことだろう。
(金田麻有)