近隣住民の一人は今回の井上被告の犯行について驚きを隠さない。
「身長は180センチで、年齢よりはるかに若く見えます。中肉中背で、車とバイクを所有しています。髪型も身なりも普通で、挨拶の受け答えもよかった。大阪府警の車が家から大量の荷物を運び出しているのを見て、頭のいい人だから、パソコンでの金融犯罪でもしたのかと思っていました。まさか、女児相手の犯罪とは‥‥」
井上被告には母と妹がおり、妹はすでに結婚。叔父が所有する家に住み、10年ほど前には成人の交際女性もいた。大阪行きを告げた時、彼は笑顔でこう挨拶をした。
「住んでいないと家がボロボロになるので、母が移って来るかもしれません。よろしくお願いします」
みずからの性癖を悟られないよう徹底してウソをつき続けた井上被告を、不審に思う近隣住民はいなかった。しかし、ある心理学者は解説する。
「幼児性愛好者の多くは、実社会の中では優しく真面目です。そうしたオモテの顔が女児たちに信頼を与え引きつけるのです」
一方、少女たちには、サイトで親身に接してくれる井上被告以外、相談相手がいなかったのだろうか。少女の現代事情に詳しいジャーナリストの丸山祐介氏が解説する。
「数名のグループ内だけで友達関係を続ける若い子たちが多いのです。『自分だけ仲間ハズレ?』と思う疑念が生まれた時に、メールを使えば顔を合わさずにコミュニケーションを取れ、相手側の答えによっては解消します。狭い範囲で人間関係が濃密になっているのが第三者に相談する原因で、社会問題といえばそうですが、初歩的な人間関係の問題と考えます」
相手の話を聞く人間が少ない時代に悩める少女たちが次々と毒牙にかかったのが今回の事件と言えよう。
前出・丸山氏は今後の対応こそ重要だと主張する。
「警察はネットや携帯の履歴、そしてハメ撮りを確認して女児を特定していると発表している。このことでいちばん傷つくのは間違いなく女児です。秘め事を見られたとなれば、そのことにショックを受ける子が出てきてもおかしくありません。“セカンドレイプ”にならないように、捜査関係者には注意してもらいたい。性に絡んだ事件の場合には、事前の対策は難しいのです。何か起きても受け入れる関係性を親子間で築いておくことが重要で、間違っても『汚れている』などと、伝わるような対応はしないことです」
少女たちに一生の傷を負わせた事件に終わりは来ない。