自民党代議士が、進次郎氏の持つ“異才ぶり”を語る。
「若手全員が、スピーチのうまさをマネしたいと思っています。青年局と女性局の合同大会を党本部8階ホールでやった時のことです。進次郎が『私はまだまだ独身ですが、女性局と青年局は手を携えていきましょう。兄弟姉妹ですから』と和むようなスピーチをするんですよ」
その時、女性局の局長はドレス姿で進次郎氏の隣に座っていた。彼はそれを横目でチラッと見やり、会場に向かってこう語りかけたという。
「白いドレスで私の隣に並んでいるのは、まだ独身の私にせめてものというご配慮をしていただいて──」
会場は笑いに包まれ、いつしか全員が彼に引き込まれていったという。自民党代議士が続ける。
「女性局長が事前にドレスで来るというのはとうてい知らないはずなのに、その姿を見てパッとひらめいてスピーチをするセンスに感心しましたね。彼の笑顔もすごい。常にテレビ映りがいいきれいな笑い方をするんです。雑談している時でも、フレーズを切って、張りのあるいい声でしゃべるんですよね。これは誰にもできないんじゃないですかね。あのブランディング力はマネできないと思います」
政治の世界で、選挙は常在戦場と言われている。自民党愛知支部より応援を受け、即座に一枚岩にヒビが入った青年局をまとめ上げ、地上・空中戦で活路を見いだした進次郎氏の力量はさすがと言わざるをえない。
一連の行動を見てか、9日夜には、自民党の石破茂幹事長(56)が進次郎氏の地元である神奈川県横須賀市内で講演し、後援者を前にこう訴えた。
「進次郎氏が大好きだ。必ずいつか首相にしたい。(皆さん)本当にしてあげて」
石破幹事長の胸中に、ポスト安倍晋三総理(58)を巡る争いをにらみ、進次郎氏を味方に引き入れたい思惑があるものの、実力がそれほどまでに買われている証拠であると言えよう。
実は名古屋市長選が地方自治体の首長選びの意味以上のものを持っていると、前出・鈴木氏は語るのだ。
「名古屋というのは民主党、かつては民社党が強かったところで、自民党に対するアレルギーがあります。今回の選挙結果が参院選には響きます。みんなの党が愛知に進出し、減税と組むなんて話もあるし、愛知選挙区には影響を与えるでしょうね」
また、前出・浅川氏もこう語る。
「自民党とすれば長年民主党王国・河村王国だった愛知に楔を打ち込むいいチャンスと捉えています。その先兵として進次郎氏が乗り込むということです」
夏の参院選に向けてすでに走り始めている進次郎氏。名古屋で大金星をあげることはできるか。