小池百合子都知事の党代表との兼任に対し「小池さんに選挙に出てほしい」と真っ先に不敵な挑発をしたのが小泉進次郎氏(36)だ。選挙戦の渦中、これまで以上に舌鋒鋭い弁舌で聴衆を沸かす裏には、今後の自民党中枢を掌握しようという野心がうかがえるのだ。
「小池さんは(総選挙に)出ても無責任、出なくても無責任」
10月1日、東京・練馬区。小池氏にとっては国政時代のお膝元の街頭演説で、希望の党を痛烈批判したのが他ならぬ進次郎氏だった。官邸詰め記者が明かす。
「安倍総理が今回の解散時期を早めたのは、有権者の人気が高い小池新党の出はなをくじくのが目的だった。ところが、小池氏はみずから代表として希望の党の最前線に立つと、やはり圧倒的な人気で、安倍総理もその逆襲ぶりにたじたじに。ところが劣勢になった自民の中で一人気を吐いたのが、進次郎氏。都知事職をおざなりにする小池氏のマイナスイメージを浮き彫りにすることに成功し、選挙の顔として、十分に役割を果たしていると党内でも再評価されています」
実際、「アウェー」である小池氏の地元でも進次郎氏の巧みな弁舌は民進党との合流にも及び、
「希望の党はまるで民進党のコスプレ」
などと、有権者にわかりやすいたとえで的確にアジり倒した。その一方で、9月28日の国会での冒頭解散に際しては、
「合理的理由がない」
と恒例のバンザイ三唱を行わず、大義なき解散を暗に批判。こうした身内にも堂々と異を唱える姿勢は自民党支持者以外の無党派層からも広範な支持を集めているのだ。
これまで入閣の噂の絶えなかった進次郎氏について、政治部デスクが語る。
「09年に初当選した進次郎氏は、復興大臣政務官、党青年局長、党農林部会長など着実に党内キャリアをこなしているが、こと入閣に関しては固辞してきた。なんでも、10年間は党内で『雑巾がけ』に徹すると明言しているが、本音では安倍政権の人気取りだけのために登用され、早々に失脚してはならないと思っているからに他ならない」
それでも今年8月からは、ついに筆頭副幹事長に抜擢された。
「役割はズバリ、自民党の選挙戦の顔。客寄せパンダと嘲笑する向きもあるが、街頭演説での抜群の集客力は他の自民議員とは桁違い。特に応援演説では『森友、加計』問題で火だるまになる可能性のある安倍総理より候補者からの信頼が厚く、党選対本部も『神様、進次郎様』とあがめている。今回の選挙戦では最大全国70カ所を遊説することが見込まれています」(前出・政治部デスク)
選挙でみごとに小池新党を返り討ちにすればいよいよ進次郎氏が打って出る!?
「元総理の次男という圧倒的な看板を持つ進次郎氏も、党内では派閥に属さない一匹狼でしかない。この点は本人も自覚しており、父・純一郎氏のように圧倒的な国民人気を背景に自民党内でのし上がる戦術が功を奏しつつある。現在のシミュレーションでは自民の大敗結果もはじかれており、三役の退陣ともなれば、進次郎氏が一挙に党三役、中でも党内の最高意思決定機関の長、竹下亘氏が現在務める総務会長に推される可能性が高いと目されています」(前出・政治部デスク)
政治評論家の小林吉弥氏が、混迷する政局を喝破する。
「希望の党は、一時は自民党に拮抗する議席を確保できる見込みだったが、リベラル左派を排除したことでその好機を逸したと見ます。進次郎氏は選挙の前哨戦では小池氏を批判したが、父の推す“原発ゼロ”を支持する小池氏を徹底的に潰すことはしないでしょう。いずれにしても『出番』はまだ先になる」
一寸先は闇、の政界で、小池氏を「踏み台」にしながら実権掌握にかかる進次郎氏の次の一手に注目が集まるばかりだ。