10月4日深夜にスタートする「孤独のグルメ」(テレビ東京系)シーズン8で、主演を務める松重豊。2012年1月期にスタートしたこのドラマで主人公の井之頭五郎を演じ、爆発的に知名度をあげたが、すでに知られているように松重は学生の頃から演劇に没頭。三谷幸喜氏が日本大学在学時代に旗揚げした劇団「東京サンシャインボーイズ」で活動したのち、蜷川幸雄が主宰する「蜷川スタジオ」に入団したという“筋金入り”だ。
その後、フリーとなって俳優活動をするも貧乏生活に疲れ、いったん俳優業を辞め、土木関係の仕事に専念。現場監督にまで昇格していたが、蜷川スタジオ時代の仲間だった勝村政信らに俳優業へと呼び戻され、今や日本有数のバイプレーヤーとして誰もが知る俳優となった。
そんな松重の昔からのファンが涙を流して喜んだのが、9月28日放送の渡辺謙主演コメディ特番「君は天才!」(NHK)だ。渡辺は広告代理店「電報堂」の営業部長・五十風と本人役、松重はテレビCMを発注する会社社長を演じた。実は松重と渡辺は蜷川演出による1998年公演の舞台「ハムレット」で共演しており、主役のハムレットを渡辺、ハムレットの親友・ホレイショーを松重が演じていた。
「当時は『主役のハムレットより目立つ大男のホレイショーは誰だ?』と大評判になり『脇役の松重が主役の渡辺を食った』『松重豊という役者は素晴らしい』と語り継がれるようになったんです。亡骸となったハムレットを胸に抱きながら、ホレイショーが獣の遠吠えのように叫ぶ姿は圧巻かつ哀愁にあふれ、観客を嗚咽させましたからね。その舞台以降初めて2人がNHKでコメディを演じたのですから、演劇ファンは大喜びだったようです」(芸能ライター)
10月4日公開の映画「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」で映画初主演を務めた松重。これからもドラマ、映画、舞台で活躍してほしい。