暮れが近づくと「紅白歌合戦」や「日本レコード大賞」が、季節の風物詩として人々の関心をさらった。特に歌謡曲全盛だった昭和の時代は、一家そろって大みそかの夜を楽しんだものである。
そんな華やかな舞台を演出した「歌姫たち」は、女優としても抜群の表現力を誇った。それは、「濃密ベッドシーン」においても、いかんなく発揮された。
例えば、女性歌手で初めてレコード大賞を連覇(85~86年)した中森明菜は、93年のスペシャルドラマ「悪女II サンテミリオン殺人事件」(フジテレビ系)で、保阪尚希を相手に渾身のベッドシーンを見せた。
「ベッドの中で服を着ていたら不自然でしょ」
当時、明菜が撮影に臨んで言った“女優魂”であり、年下の恋人という設定の保阪を完全にリードしていた。
一方、事実上の引退から30年近く経った今も待望論が絶えない伝説の歌姫・ちあきなおみは、西城秀樹主演の「傷だらけの勲章」(86年、東宝)で、ベテランの中村嘉葎雄を相手に、かぐわしいラブシーンを見せている。そんなちあきと72年のレコード大賞を激烈に争った小柳ルミ子は、一糸まとわぬすがたを見せた「白蛇抄」(83年、東映)で、日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞に輝いている。
歌声だけでなく、演技でも悩ましい息づかいを見せた大ヒット歌手たち──11月5日発売の週刊アサヒ芸能11月14日号では、実に30人近い歌姫の“艶芝居”を詳報している。ヒット曲を聴いてから観るか、それとも観てから口ずさむか…。