昭和のギャグを振り返る一方で、平成のギャグに「国民的」と呼べるものがなかなか見当たらない。「だっちゅーの!」「そんなの関係ねえ!」「ヒーハー」──。どれも「そんなギャグもあったな」ぐらいの感想しかなく、現時点ですでに埋もれている。
昨年、ブレイクした「ワイルドだろ?」も、短命のニオイがプンプンする。なぜ、現代で国民的ギャグは生まれにくいのか。
放送作家でお笑いに関する著書もある元祖爆笑王氏に聞いてみた。
「アンケート結果からわかるように、昭和のギャグは番組またはCMで芸人、コメディアンが繰り返し、ヒットしたものが多い。ところが、平成生まれの人はもちろん、若い人たちが我々の業界に逆風とも言える『テレビを見ない風潮』になっています。見るとしても、ネット番組やDVDなど、あとはゲームのみです。
つまり昭和は番組内でのギャグはもちろん、CMなどが毎回、嫌と言うほど連発され、頭に叩きつけられたので記憶に残っている。今はまったくと言っていいほど、残らないものとなっています。たとえ一時的に残っても、昭和のギャグのように再度、見る機会が減り、忘れ去られていきます。『テレビ離れ』が結局はギャグを生き残れないようにしているのかもしれませんね」
お笑い文化はテレビという媒体の登場で大きく花開いた。その一方で喜劇映画は大きく衰退していった。
歴史は繰り返されると言うが、バラエティ番組は衰退期に入っているのかもしれない。ただ、スマホでSNSやオンラインゲームに夢中になる世代が一様に笑うギャグは、今のところ出現していない。