千葉ロッテが正式に東北楽天からフリーエージェント(FA)宣言していた美馬学投手の入団を発表した。先に千葉ロッテからFA宣言していた鈴木大地が楽天入りしている。ともにチーム年俸10傑に入るBランク選手であり、千葉ロッテ、東北楽天の双方に「人的補償」も発生するわけだ。
千葉ロッテに詳しい関係者によれば、鈴木の人的補償は「ピッチャーか、外野手」に標準を定めたが、一方の楽天側は頭を抱えているそうだ。
「普通に考えたら、楽天は規定投球イニング数に到達したピッチャーの美馬を引き抜かれたので、先発タイプのピッチャーか、もしくは若手野手を獲りにいきたいところ。ロッテは、今季イースタン・リーグで2位になるなど、若手の有望株は比較的多いのですが、とはいえ2015年のドラフト1位・平沢大河、2017年ドラフト1位・安田尚憲、2018年ドラフト1位・藤原恭大といった若手野手は絶対にプロテクトされるはず。ここから漏れるとなると正直な話、楽天は欲しいと思う選手が見当たらないようです」(球界関係者)
これに関連する話も…。プロテクト名簿入りさせられる選手数は28人だが、「そんなにいらない」なんて冗談のような声がロッテ内部から出ていたとか。
それはさておき、ロッテはチームが世代交代の過渡期にあり、投打の戦力不足を外国人選手で補っている状態だ。
「美馬の入団発表直前、先発ローテーションの一角だったマイク・ボルシンガーを解雇しました。ボルシンガーは昨季、外国人投手の最多タイとなる11連勝を飾りましたが、今季は故障で4勝止まり。涌井秀章の不調や、期待されていた二木康太が今ひとつだったことに加え、石川歩も不調から一時、中継ぎに転向するなどの事情もありましたが、故障を抱えていたのに、登板数が去年と同じだなんて…。いかに戦力不足であったかがうかがえます」(スポーツ紙記者)
井口資仁監督は「美馬の開幕投手も」と語っていたが、今季の千葉ロッテは規定投球数に達したピッチャーはいない。2ケタ勝利数をおさめた先発投手もゼロだ。ドラフトでは令和の怪物・佐々木朗希を獲得したが、他に指名した投手は高校生一人だけ。美馬の獲得がなければ、壊滅状態だったかもしれない。
千葉ロッテ、楽天はともにFA選手を交換するようなかっこうとなった。「トレード成立ということで、人的補償はおたがいナシに…」なんてファンの声もある。井口監督はドラフト、FAの勝利にご満悦のようだが、ロッテファンからすれば「楽天からもうひとり投手を人的補償で絶対に獲ってくれ」の心境かもしれない。
(スポーツライター・飯山満)